TOP絵(54)

 

 

 

「ギラ!!」

 

『力ある言葉』を唱えれば目映い閃光が瞬間的に辺りを覆いつくした。

目標あやまたず放たれたはずの攻撃は、しかし直前で避けられて思わず舌打ちする。

「ったく、面倒な………!」

苛立つこちらを見下ろして相手はケタケタと感情逆撫でするような声を上げた。

 

狭いはずの洞窟内。

空など見えもしない地下の地下。

そこを滑空する―――モンスター。

『キメラ』とも様相を異にする人面獣身、背に羽根を生やし、甲高い音波を放つ厄介な。

 

「こんなんが生き残ってるなんてさすが『破邪の洞窟』、ってトコか?」

 

焦りは禁物だ。地下の建造物の間を飛び交う影を冷静に目で追う。

大技は使えない。下手すれば建造物が壊れて自分が押し潰されてしまう。こちらの技は制限されているが、

並び立つ柱の数々に動きを制限されるのは敵も同じこと。

足元に散らばった遺跡の数々を見遣ってポップは笑みを深くした。

大丈夫。お誂え向きのものが此処にはあるじゃあないか―――。

 

無音で滑空し背後から敵が襲い来る。振り下ろされた鋭い牙を直前で避け、至近距離でポップは叫んだ。

「ベギラマ!!」

モンスターは身軽に飛び避ける。

お前の技など届くものかと下卑た笑いを浮かべながら。

―――直後。

 

ゴォッッ!!

 

背中を焼いた熱線にそいつは目を見開いた。羽根が打ち抜かれ地上に落ちるを余儀なくされる。

近づいてくる地面と人間の姿を信じられない思いで見つめながら。

羽根を破き、背から胸まで貫く致命傷を与えた人間は落ち着き払っている。

カタカタと爪先で地面を掻き毟りながら、何が起きて自分がこうなったのか、理解できないままに

『それ』は絶命した。

 

「………ここまで上手く行くとは、な」

安堵のため息。

大した手法ではない。遺跡の中枢に置かれた鏡に『マホカンタ』がかけられたままだったから、

ならば自らの技を反射してくれるだろうと期待してのこと。

反射の軌道上に敵がいるかは一種の賭けだった。

無論、相手が反射した技を避けたところを狙い撃ちできるよう次の攻撃に備えてはいたけれど。

両腕からようやく魔法力を解放した。

他に敵がいないことを確認して下ろしていた荷物を拾い上げた。

そして、不吉な予感にふっと面を上げる。

 

「まさか―――地上も………?」

 

いや、そんなことはないはずだ。

それに、地上には仲間たちがいるし、何より『勇者』がいるのだからと。

軽く頭を振って考えを振り払う。

 

未だ幾許かの不安を内に孕んだまま。

 

 

 

 54代目TOPイラスト。地底遺跡に空飛ぶ敵がいるのかな
んて疑問はスルーv 本当はドラゴンにしたかったけど『ダ
イ大』世界での竜は貴重だし、ヒドラにするのもちょっとなあ
とか思って何故かこんなんに………外見はハーピィと同種
だと思うんすケド。
 相変わらず何を目指してるか分からん展開ですが、引き
もそれっぽいし、次回は地上の描写に戻るかな?(予定は
未定)
 いい加減ダイくんも再登場せなアカンだろうし(苦笑)。し
かし管理人が内容を次まで覚えている保証は全くないので
あった☆(オイ)

 

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