TOP絵(57)

 

 

 

幾度剣を振るおうと、どれだけの敵を切り裂こうと、果てがないと思える時がある。

 

 

 

「ダイ君! 大丈夫!?」

「オレは平気だよ! それより国境線の守備はどう?」

陣頭指揮を執るレオナのもとまでトベルーラで舞い戻ると急ぎ状況を確認した。

三賢者が守りについているから問題はないと返しつつ、偶々ヒュンケルやラーハルトや

エイミがパプニカに立ち寄っていた僥倖に感謝しつつも、

何が原因なのだろうかと若い施政者は唇を噛み締める。

 

「………ワケがわからないわ」

 

突如、雲霞の如く沸いて出た魔界のモンスターたちが都市を襲いだした。

パプニカだけではない。カールにも、ベンガーナにも、テランにも、等しく敵は出現し。

不思議と敵の統率が取れていてやりづらいことこの上ない。

「うん。―――でもレオナ、頼むから無理しないでくれよ。オレなら多少の無理はきくけどさ」

「ふふ。―――ありがとう」

 

『オレは人間じゃないから』、『大丈夫なんだ』、『どれだけでも戦えるよ』

と、言いかけて慌てて口を噤む。

きっと、敏い彼女には全てバレているのだろうけれど。

 

間もなく世界の主たるメンバーが一堂に会して話し合いの場を設けることになっている。

かつて大魔王バーンと戦ったメンバーにも召集がかけられるだろう。

 

 

―――だが。

そこに。

『彼』の姿はなくて。

 

 

何故か胸が締め付けられる。

ある日突然消えていた、臆病なくせに勇敢な、彼のことを思い出す。

どうしていま此処にいないのだろう?

どうして自分の傍にいないのだろう?

そればかりが胸に沸き起こり、ともすれば思考の淵に沈みがちで、加減を誤れば敵どころか仲間まで

切り裂いてしまいそうな力を持つ己は誰よりも冷静でなければいけないはずなのに。

 

空を覆いつくす敵に鋭い視線を投げつける。

―――嗚呼。

戦いの場に立つ自分は、こんなにも。

 

バルコニーに並び立つふたりのもとに慌ててアポロが駆け込んできた。

国境線を守護していたはずの彼が息せき切って舞い戻る出来事。何事かとざわめく

重臣たちと共に報告を待てば、意外な言葉が告げられた。

 

「大魔道士さまから、いえ、ポップ君から連絡が入りました!!」

 

周囲が色めき立つ。レオナが素早く「何処から!?」と問えば部下は、しばしの逡巡の後に答えを返した。

 

「………魔界から、です」

 

ダイは僅かに息を呑んだ。

 

 

 

―――幾度剣を振るおうと、どれだけの敵を切り裂こうと、果てがないと思える時がある。

 

彼が隣にいたならば、果てがない時すらも幸福と思えたはずなのに。

 

 

 

 57代目TOPイラスト。「この子は勇者!」と念じながら
描いたら年齢不詳になってしまいました(汗)。手にした
のは「なんちゃってダイの剣」。図画工作が不得手なワ
タクシにあの直線美を再現しろなどと言わないで頂き
たい☆ ← 偉そう。
 作中では何故か急に魔界のモンスターが地上に大量
発生したようです。何ででしょ?(考えとけよ)
 ポップ君がいきなり魔界にいることになってますが正
しくは「魔界の一歩手前」だと思われます。いきなし飛
び込むほど無謀じゃないさね☆
 でも一番無謀なのはなんも展開を決めてない自分だ
ろーと思う今日この頃。ホント、この先どうすりゃいいの
かな(滝汗)。

 

BACK    TOP

 


女の子お絵かき掲示板ナスカiPhone修理