TOP絵(60)

 

 

 

報せを受けて急いで城に舞い戻った。

廊下を抜け、大広間を通り過ぎ、一部の政府高官しか入ることを許されていない最深部へと。

先導していたはずのアポロを追い越して、

レオナが追いかけてくるのだけ振り返って確認して、

すれ違う見知った顔だとか、慌てふためいている重臣たちなんて目もくれずに。

 

「ポップ!!」

 

―――開け放った扉の向こう側。

壁に立てかけられたのは古来よりパプニカに伝わる『魔鏡』だ。

かつて―――いまよりも遥かに高度な魔法が存在していた時代において、この鏡は

人々の連絡網として活用されていたのだと言う。

それもいまは遠く、ただの飾りと化していたはずなのに。

 

復活させたのは二代目の大魔導士だった。

各地に残されていた魔族の通信履歴を解析して、

勇者を捜していた自分たちの現状を知らせるための道具に仕立て上げたのだ。

 

―――だから。

『彼』がいない時に『魔鏡』が反応したならば、それは、『彼』からの連絡でしか有り得なくて。

 

開け放った戸の向こう側、鈍く光を反射する鏡に求める姿を見い出して安堵の息をついた。

―――同時に。

『それ』が何処からなされたものかを思い出して表情を曇らせたけれど。

 

別れた時と変わらぬ姿、変わらぬ態度で、永年の友人は軽く手を挙げた。

 

『よう! 久しぶりだなぁ、ダイ。姫さんも元気かい?』

「久しぶりだな、じゃないよ、ポップ! ………心配してたんだからな」

「そうよ、ポップくん」

 

やっとこさっとこ追いついたレオナはやや息を切らせていた。

ポップの背後は暗く濁っていて彼の居場所を示してくれることはない。

………居場所が分かりさえすれば、すぐにでも迎えに行けるのに。

 

「………ポップ。アポロさんから聞いたよ。魔界に、いるって―――」

『ああ。っつっても正真正銘の魔界じゃねぇ。その一歩手前だな』

大差ないことをのたまってポップはまたひとつ、笑う。

『とりあえずオレが何処にいるかはおいといて、だ。そっちの様子を教えてくれないか?

ことと次第によっちゃあオレの取るべき手段も変わってくる』

説明を求める彼にレオナが状況を掻い摘んで話す。

ダイは物事を理論立てて説明するのが苦手だったから、口にすることと言えば。

 

「―――戻ってこいよ、ポップ。お前ひとりなんて危険すぎる」

『悪いな、ダイ。いま戻るワケにはいかないんだ』

レオナの説明に耳を傾けていた彼はやや考え込んでいたようだけど、

ダイの願いには苦笑を返すのみだった。

 

地上で何かが起こっているのなら、

いま自分が居る場所からその原因を探れるのなら、

立ち去るのは成すべきことを成した後のことだ。

 

「それでどうなの、ポップくん。キミの考えではどうなるのかしら?」

 

レオナの問い掛けに、

ダイの真摯な瞳に、

他の重臣たちの不安げな面持ちの前に、

ポップはどうしたもんかと頭をかいて口を開いた。

 

あくまでもこれは仮説だと、幾度となく繰り返したその後に。

 

 

 

 60代目TOPイラスト。描く度に勇者さまの顔つきと背丈
が激しく違っているのですが、もう深くは考えないことにし
ました(黄昏)。
 本当はもうちょいダイとポップの間でキツイ問答がある
はずだったんですが、短くまとめようとしたら上手く盛り込
むことが出来ませんでした☆
 ま、いいか………所詮は行き当たりバッタリな話だもん
な………。 ← 待て。
 おそらくこの後ポップくんは、魔界と地上の間に『扉』が
出来てしまったとか何かそこら辺の仮説を適当にぶちま
けることと思われ。
 他のサイトさんで存分に楽しんでるので、自サイトで『魔
界編』(※ヴェルザー編)はやりたくないんだけどなー。う
ーん(汗)。

 

BACK    TOP

 


女の子お絵かき掲示板ナスカiPhone修理