TOP絵(66)

 

 

 

「行っちゃ駄目だ! ポップ!!」

 

―――そんな風に呼ぶのなら、と。

こころから思えてしまったのだから仕方が無い。

 

 

 

いきなりヒトのことを呼び出して、いま自分がどんな状況にあるのかの説明もそこそこに。

 

『オレが閉じて来る。―――その扉を』

 

いとも簡単に告げてくれた魔法使いの言葉に動揺したのは勇者だった。

鏡についた手に力を篭めて、ああ、そんなに力を入れたら通信用の鏡が壊れてしまうじゃないかと

こっそり影で呆れながら。

 

「なに言ってるんだよ、ポップ! ひとりでなんて危険すぎる! 一回戻るべきだ!!」

『一刻を争う事態だぞ? ひとりで特攻かけるワケじゃねぇんだ。適当に様子見だけして帰るって』

「オレも一緒に行く」

『お前にはパプニカを守る使命があるだろ』

「ポップひとりで行かせられないよ」

『お前な………とにかく、民衆を守るのは勇者の役目なんだからちゃんとしてろってーの』

「行っちゃ駄目だ! ポップ!!」

 

姫さんや三賢者でも対処しきれない敵が出てきたらどうするよ?

自分は単なる偵察だし、ルーラですぐに帰ることが出来るんだし、と。

生憎とダイがポップに口で勝てた験しはない。

その後も随分と言い争いはしたけれど、結局は魔法使いがのらりくらりと言い逃れ。

 

『なんかあったら連絡すっからよ。じゃなっ!』

 

プツリ、と。

来た時と同じくらい呆気なく通信は途絶えてしまった。

問い掛ける術を持たないこちらは只管に振り回された感じだ。それでも幾つか事情や状況は分かったし、

彼が「連絡する」と言ったならその約束は八割方、果たされる。

だからこの場合、問題にすべきなのは。

 

―――ひとえに、取り残された感の否めない勇者の処遇。

 

成長と共に理性や責任をより一層自覚するようになった少年は

たとえどれほどに精神が出立を促しても素直に歩みだすことが出来ない。

以前はもっと自由に振る舞えていたはずだ。

王宮に留まることが、人々と共にあることが、世界を守るという想いが、

彼の行動を縛るのであればこれほどに皮肉なことはないと思うのだ。

 

だから、自分は彼の背中を押す。

後悔する姿なんて見たくもないから。

 

「―――追いかけなさい」

 

笑いながら宣言した自分に、勇者は随分とマヌケな素顔を晒してくれた。

 

 

 

―――そんな風に呼ぶのなら、と。

こころから思えてしまったのだから仕方が無い。

 

 

 

 66代目TOPイラスト。『ダイ大』のレオナ姫ですv この作品
の女キャラを描け、といわれた場合、何だかんだで彼女を描
く率が高い気がします。たぶん、比較的描きやすい部類に入
るンだろーな(笑)。
 TOP絵連載が何処に向かってるか分からないのですが、ダ
イがポップを追いかけるのは必然なので(?)彼女には思い
っきり勇者の背中を蹴飛ばしてほしいんであります。
 どちらかっつーと『待つ』よりは『一緒についてく』タイプなん
だろうにな。ごめんよ、姫(苦笑)。

 

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