TOP絵(72)

 

 

 

喜べばいいのか怒ればいいのかわかりゃしない。

 

 

「―――ヒャド! バギ!! ………メラっっ!!」

 

立て続けに唱える呪文の数々にいささかの疲労を覚えていたのは確かな事実。

ひたひたと押し寄せてくる下からの圧力に気が張っていたのも事実。

休む暇なき戦いの連続に荒む寸前だったのもまた事実。

 

何処からわいてくるんだか知れない合成獣を倒して、怪鳥を倒して、

地を這う獣を、空舞う鳥を、洞窟を崩落させぬよう気遣いながら追い払うのは

結構骨が折れる仕事だった。

 

ほんの一瞬。

隙を見せた。

いずこからか伝う雫をもとに形成された天然の水場。ぬかるむ足元に気を取られた。

 

「―――!」

 

敵の、一撃に。

切り裂かれることを覚悟した。

直後。

 

「アバンストラッ―――シュ!!」

 

目にも目映い光芒が敵と共に辺りを切り裂いた。

鳴り響く轟音も地を伝う震動もすべてが咄嗟には信じられず、

土煙の向こう側に覗いた姿を認めても尚

認め難かった。

師から受け継いだ必殺技で敵を薙ぎ払った少年は、

別れてからまだ幾らも経ってないはずなのに随分とおとなびて感じられた。

 

自分より大きな剣を肩に担いで、見事な旅支度で、高めの足場から

こちらへと歩み寄る。

 

「よかった、やっと追いつけた! ポップって行動が早いから困るよな」

 

姫さんはどうしたとか地上はどうしたとか国はどうしたとか

何で此処にいるんだとか何やってるんだとか何しに来たんだとか

聞くべきこと尋ねるべきこと確認すべきことは山ほどあったはずなのに。

 

呆気に取られた己の第一声は実に些細な言葉だった。

上機嫌で近付いてきた頭をペイッ! と軽くひと叩きして。

 

「バカ! こんなとこであんな大技つかうな! 洞窟が崩れたらどーするんだよっっ!!?」

 

 

ああ―――まったく。

 

喜べばいいのか怒ればいいのかわかりゃしない。

 

 

 

 72代目TOPイラスト。
 水面に映ってる様を表したかったんですが何か色々と
間違えた気が。でも、もしかしたら上下逆さまの図を描き
たかっただけかもしれない(それだけか!)
 とりあえず話を進めるためにちょっぱやで再会させて
みました(笑)。もーこのまま魔界に突っ込んじゃえばい
いYO! と思う次第。
 生憎と今回では終われませんでしたが、上手く行けば
次回で終われるかな………?

 

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