TOP絵(75)

 

 

 

 

思い切り怒号を言葉に乗せてやれば、相手はキョトンとした顔で立ち止まった。

 

「大技つかうなって―――ポップこそ魔法つかいまくってたじゃないか」

 

オレだけ責められるなんて納得いかないよ、と唇とんがらす姿に

バカ、あほ、オレはきちんとコントロールしてるから問題ないんだ、でもお前は

いまのいままで手加減らしきものが出来たことがあるのかと、半分以上は

別の理由から相手をわざとらしく罵ってみる。

 

―――どうして此処にいるのだろう。

ひとりで行くはずだったのに。

彼は、地上に残ると思っていたのに。

 

まるで内心の戸惑いを見抜いたかのようなタイミングでダイがにっこりと笑う。

 

「ひとりで行こうたってそうはいかないよ、ポップ。

オレだって聖母竜とか、竜の紋章から、ある程度の情報は引き出したんだから」

 

舌打ち。

まさかダイがそんな方法を編み出す―――思いつく―――なんて考えてもいなかった。

だからこれはポップの落ち度になるのだろう。

姫さんたちにも話したのかと尋ねれば

話してないけどレオナは分かってるんじゃないかなあ、と何とも頼りない言葉が返ってきた。

それでも、視線だけは真っ直ぐに強く。

 

「いま開いてる扉は一度、魔界に『堕』ちないと閉じられない。

………ひとりでどうするつもりだったのさ。ポップ」

 

生身で魔界に取り残されて。

誰ひとり頼る者がいない環境で。

戻る手段も見つけていない状況で。

声高に責めてくれた方がいっそ有り難い。そうすればこっちも意地を張ってダイを

ルーラででも何処かへ置き去りにしてとっとと扉をくぐっていただろうに。

 

(………ちぇっ)

 

密かに、再度の舌打ち。

けれど、それほどに苦い想いがある訳でもない。

 

世界には、『魔法使い』よりも『勇者』が必要だ。

『賢者』よりも『王』が必要だ。

だから世界にあいつを返して、自分は―――思う存分、世界を歩いてみたい。

なんてことを考えたのはそう前のことじゃないはずなのに。

 

人生、思うようには行かないもんだ。

 

仕方ねぇなあと苦笑して手を伸ばせば、むかしと変わらぬ無邪気な笑みを返された。

 

「よっしゃ! とっとと行ってとっとと帰るとすっか!!」

「あてがあるの?」

「別にないけど、まあ、何とかなるだろ」

「そうだね。ふたり一緒なんだし!」

 

だったら何も怖くなんかないよと、また、こころからの笑みを奴は浮かべる。

いい加減はずかしくなるぐらいの明るい笑い方に背中がくすぐったくなって。

 

勇者でも王様でも魔法使いでも賢者でもなく、ただの旅の友として共に扉をくぐろう。

扉の先は暗黒の世界。

光が存在するかのさえ定かでない場所。

それでも、怖くない、恐れない、逃げたりしない。

こうして肩を並べる友がいるのなら。

 

「行こう、ポップ」

「―――おうよ。ダイ」

 

 

そうしてふたりは『扉』を開いた。

 

 

 

 

 75代目TOPイラスト。偶には自分絵でもいいよねー、と思
ってたら本当に自分絵そのものになってしまいました。苦。
 ちょっとばかり話が急ぎ気味ですんません(苦笑)。多分こ
の後は一旦魔界に降りて『扉』を閉じて、その後色々と謎な
出来事を体験してから地上に戻ってくると思います。ヴェル
ザーと対決するかは不明です。
 本格的に書き出したら永遠に終わりそうにないので、やや
強引に割愛(………)。えーっと、その、素敵な魔界編は余
所様でたくさん見れますし、ね?(どきどき)
 ウロウロと試行錯誤を繰り返していた謎のシリーズでした
が、「仮」にしろ一区切りできてよかったです♪
 お付き合い頂いていた方、本当にありがとうございましたv

 

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