※このお話はパラレルです。
※戦争がなくて、ルルとナナリーは枢木家に引き取られたまま、とゆー設定です。
※このお話のくるるぎさんは少々、腹黒いようです。ご注意下さい。
―――ああ、まただ。 自分のカバンを覗き込んで枢木スザクはそっとため息をついた。 |
恒常的不満に対する永続的反逆の宣言V
朝一番の教室はいつも通りざわついている。壁にかけられた時計の時刻を確認して自宅まで戻るのは無理だとあっさり結論を下した。 たぶん、おそらく、間違いなく。 本気で走れば間に合ってしまうのだろうけど実行する気にはならない。手持ちのカバンから筆記用具とメモ用紙だけ取り出して、スザクはキョロキョロと辺りを見渡した。折りよくやって来た隣席のカレンに笑いかける。 「おはよう、カレン」 「………おはよう」 朝から生徒会の集まりに引き出されていたのだろう。何処か投げやりな感じでカレンはぐったりと机の上に腕を伸ばした。例の一件以来、彼女は猫をかぶることをやめたらしい。 「疲れてるみたいだね。生徒会は忙しい?」 「忙しいなんてものじゃないっ! あんたも一度ぐらい経験してみればいいのよ!!」 しかも副会長は堂々とサボってるときたもんだ! と指差されれば「愚弟が大変申し訳ないことを」と意味もなく謝りたい気分になる。 「部活が忙しいから手伝えないんだ。ごめんね」 「―――かけもちしてるんだったっけ。何でそんなにたくさん入ってるの?」 弓道部だの剣道部だの空手部だのと、およそ運動部に分類される活動のほぼ全てに彼は名を連ねていた。義弟曰くの「頼まれたらイヤとは言えないお人好し」が災いしているのも事実なのだろうけれど。 でも、それ以上に。 「忙しくしてないと生徒会に入れられちゃうからね」 「は?」 「ところでカレン、頼みたいことがあるんだけど」 物言いたげな相手の態度はあっさり無視して話を先へ進める。なに? と胡散臭げな視線を向ける同級生に反省の色が見えない笑みを返した。 「教科書みせてくれないかな」 「また忘れたの」 「うん。教科書、全部」 ぱかっ、と。 開いて見せたカバンの中は見事にすっからかんだった。先ほど取り出された筆記用具とメモ用紙、財布や生徒手帳やハンカチなどの身だしなみ用品だけが今日の持ち物の全てである。 呆れ返ってしばらく物も言えなかったカレンが、深い、ふか〜いため息をつく。 「もう少し待ってればルルーシュが持ってきてくれるんじゃない?」 「やっぱり?」 「やっぱりって―――そう思うんなら忘れないようにしなさいよ」 「うん、そうだね」 彼女の言い分はもっともで、それが一番なんだろうといつも思う。 それでも。 「………なんで持ってきちゃうのかなあ」 教科書や財布や弁当や時にはカバンごと家に忘れても彼は(物凄く不機嫌そうではあるが)必ず持ってきてくれるのだ。ナナリーに頼まれた、との前置き付きで。 「ルルーシュって優しいよね。いい加減、見捨ててもいい頃だと思うんだけどなあ」 「お人好しはお互い様なんじゃない?」 「でも、そろそろ―――いい頃だよ」 「………?」 「もう、いい頃だ」 たぶん、彼が何も届けてくれなくなったら自分は悲しくなるのだろう。 それと同時に、ようやく肩の荷が下りたような気持ちになるに違いない。 届けてくれるのが当たり前になりかかっている日常。忘れたのは自分の責任なんだから「バカだな」と笑って置き去りにしてくれればいいのに、そうしてくれないから、色々と。 なのに、まるで試すかのように忘れ物ばかりしてくる自分もよく分からない。 「それって………甘えてるの?」 窺うようなカレンの言葉は案外当たっているのかもしれないと思った。 教室の背後がザワめいて、校内の女子に人気の高い彼が到着したことを自然と伝える。 ―――ああ、まただ。 振り向いて、眉間に皺を刻んだ彼に笑いかける。
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※WEB拍手再録
くるるぎさんの思考回路は変なところで複雑なので「不満」と「反逆」の内容が
イマイチ不鮮明(書いたのは私だが)
実はこの連作はなんちゃって『は○だしっこ』と見せかけてさり気に薄暗い『ペルソナ』的世界観なんですよ、
と言っても誰も信じてくれないだろう………。使うかどうかも分からん設定だしなー。
無駄に決めてある各自のペルソナの名前は下記の通り。
騎士は「ランスロット」、皇子は「ゼロ」、カレンは「紅蓮」。そのまんまだ(笑)