043.魔王の午後
「………何をやってるんだ」 「一世代前のゲームだよ」 友人が教室でいじくっている小型ゲーム機に首を傾げれば、そんな答えが返された。 いまとなっては懐かしい二頭身キャラ、荒い画面、セリフは全てかたことで読みづらいことこの上ない。 それでも発売当時は大変な人気を誇ったらしい。先日、店で見かけた際にあまりの古めかしさに引かれてつい購入してしまったのだという。 ゲームは既に終盤。プレイヤー演じる『勇者』が『魔王』と対面していた。 「でさ、すっげぇお約束なんだよ」 「何が」 「魔王が尋ねてくるのさ。『勇者よ、わたしの部下になれ。そうすればお前に世界の半分をやろう』って」 僅かに。 ―――『私のところに来い』。 肩が震えた。 ―――『私の仲間になれ』。 窓の外、穏やかな午後の光の中を楽しそうに歩いている同級生たちを眺める。透明な硝子ごしに斜めに差し込む黄金色の陽光が廊下に細かな紋様を映し出していて。 ―――いいさ。お前は其処で甘い理想を夢見ていればいい。 道が分かたれた以上、何も望まない、期待しない、求めたりなどしない。自分の想いを理解せず、愚かな道を選ぶばかりで共感してくれない相手を振り向いている暇はない。いまは己にも『力』がある、誰の手を借りずとも、導いてくれる手がなくとも、戦えるだけの『力』が。 だから振り返らない。 待たせたゴメンと肩を叩かれて、素知らぬ笑みを浮かべたまま彼は即座に踵を返した。 |
※WEB拍手再録
偶には『流行りもの』+『わかりやすい比喩』のコンボでGO☆(コンボ………?)
アニメ第4話の後ぐらいだと思われます。
どーにもこーにもチューリップ仮面(※主人公)による白い騎士の勧誘シーンがRPGのお約束と
かぶってならない旧世代です。皇子ってば当然の如くフラれたしな! ← 待て。
突発的印象だけで仕上げてるので、あまり細かいとこは突っ込まないで下さいね(笑)