空は薄曇、雲間より差し込む日の光も暗く、なまぬるい風が辺りを吹き抜けていく。足元を埋め尽くす瓦礫、砂塵、鉄くずの山。『世紀末』や『終末の世界』なんて所詮は夢物語と思っていたのに、いまこうして目の前に広がる光景はまさしくそれで、通いなれた学校も近くの公園も自身の家でさえどんよりとした黒雲の下で見る影もなく崩れ落ちている。 嗚呼、―――此処は、一体。 再会は突然。挨拶もなしに相手の腕を引っ掴み、過去へと連れて来た。 怒鳴られ、暴れられ、帰さないと告げれば殺気混じりに睨まれた。 根負けした振りをして<鏡>を開いたけれど―――何故、素直に帰すなどと思ったのだ。 開いた瞳に映る荒れ果てた大地。この時代の「世紀末」とは己の時代の「末法の世」に当たるのか。いつの世も終末思想はあり、それを乗り越えながら人類は歩んできたけれど、そんなの、ひとつ間違えればすぐに滅んでしまう危うい綱渡りを運良く切り抜けてきただけに過ぎない。 「ここは、何処だ」 お前が帰りたいと言っていた世界に間違いはない。 「戻せ」 ふざけるな、と射るような目を向けられればふざけてないさ、と笑い返す。 「引き返せない。が、やり直すなら過去へ行くしかない………過去へ」 そして。 手を離す。 奴の瞳が絶望に染められるのを見守った。 「何故、」 声が震える。 「何故、お前は………!」 気付いているはずだ。 |
笑う道化師
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ダーク版マサヤク。意味不明だけど、オミさんがヤクモさんを勝手に望まぬ
(家族も友人も他の闘神士も式神も滅んでいる)未来に連れて来たんだとお思いねぇ。
そして、最後の一文だけ反転仕様。