091.たとえばそれが恋とは違っても


 

 ある特定人物の動向や生死に関して。

 あまりに必死すぎると時々揶揄される。
 単純に憧れていると何故か不審がられる。
 別におかしくないと思うのに。
 強い人、共に闘える人、信じられる人、苦しくても何とかしてくれそうな人、頼れそうな人、ひとりで歩いていけそうな人、表現する言葉なら幾らだってあるけれど、結局は自分がその人に向ける想いが全ての根源にあることは間違いなくて。
 だから「どうしてそうまで信じられるの?」って聞かれると………少し、迷うけど。

 例えば助けてくれたとか、
 例えば優しくしてくれたとか、
 例えば信頼してくれたとか、
 理由は色々あるんだ………きっと。

 でもどれもが一番の理由じゃないんだよ。

『なーんかよくわかんねー………』
 そういって白い式神は唸る。
 己の前契約者に現契約者が無条件の信頼を寄せる理由がわからなくて頭を捻っている。
 ―――あのさ、ボクはキミだって信じてるんだけど、それは分かってる?
『おお、勿論な。オレだってお前のことは信じてるしよ………ただなんつーか』
 出会った時間は短いし交わした言葉も少ないのに妙に入れ込んでるよなあ、と呟いて。
 それでいったらあの人の方こそ初対面に近いボクに、未だ力の定まらないボクに、戦況を伝えたり未来を託したり、それこそとんでもない無条件の信頼だと思うけど。
『上手く言えねぇけど―――お前ら、会った瞬間からなんか通じ合ってただろ? 互いにお人好しだから納得できないこともない、んだが』
「じゃあ、それでいいんじゃないの?」
『―――っ、でもなあ、リク! お前、誰でも彼でも信用しすぎだ! 痛い目みてるんだから少しは懲りろよ!』
 話が脇にそれている気もする。
 ただひたすらに足を速めながら、「無」を携えていまにも落ちてきそうな空と、そこに映し出されたあの人を見ながらの会話だから、実は端々が途切れがちで。

 逸る気持ちを抑えているのは―――、
 怪我をして眠っていたはずの彼が此処に来ているのは―――、
 もしかして、何か、伝えたいことがあったんじゃないかと、
 だったら、
 せめてそれを聞くまでは泣き叫んで逃げ惑う訳には行かないと思ったから。
 そういった思いを向ける対象が家族や友人や恋人だけに限られる必要はないと思う。

 実際、彼との関係を問われると少し迷う。友人と称するにはまだ遠慮があるし、知人よりはもう少し仲が親密で、憧憬プラス信頼と少しの甘えと引け目の入り混じった複雑な感情。
 向こうにはどう思われてるのかな………本当は聞いてみたい。
 トモダチと思ってもいいですか? って聞いてみたいけど、相手の反応が怖くて未だに聞けないでいる。冷たい言葉が返される可能性は万に一つもないと知りながら、素直に「トモダチ」と返されたらそれはそれでショックを受けそうな自分がいる。

 ―――トモダチ、より。
 もっと、別の。
 ………それこそなんて言ったらいいのか分からないけど。

 ふぅ、と同じように焦りを滲ませた表情のままで、ポツリと彼は呟く。
『………オレにはわかんねーのかもな。その、いわゆる親愛ってのは。恋ってのともまた違うんだろ?』
 でもキミは「信頼」を司る式神じゃないか、と笑って返す。
「無理に関係を言葉で表さなくてもさ、それ以外でも大切なものって存在してると思うんだ」

 愛情、というには妙に生半可。
 ただ。
 息が切れそうになりながらも走らずにはいられない、この思いだけは本当。




「たとえばそれが、恋とは違っても」

 

 


 

誰かにラストのセリフを言わせたかっただけの作品です☆ ← ちょっと待て。

同じセリフがミスチルの歌にあったと思うけど正式な出典は不明。

 

場面としては「無」を止めるためにヤクモさんが人柱になったくらいでしょーか。

実際のリクとコゲンタはこんな悠長な会話してる暇なかったと思いますが、まあ深くは考えるまい。 ← オイ。

マサオミさんに会った途端りっくんの歩みが止まったのがちょっと不満。せめて走りながら

喋ってくれよ………どうやら管理人はかなりヤクモさんがお気に入りだったようです☆

うん、でも、いいんだもう―――りっくんは常に揺れる乙女心だから(違)

 

りっくんとヤクモさんの間にあるのは「尊敬」とか「憧れ」とか「仲間意識」がほとんどでしょうけど、それにしちゃあ

互いの互いに対する思い入れが強すぎて、でも恋愛感情ではなくて、とゆー実に微妙な関係です。

むしろ管理人の脳内設定における関係が曖昧極まりないのでした〜(しっかり決めとけ)

 

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