ここがお前の部屋だと船内の一室に案内されて安堵の息をついた。 多分そういう反応を示されるだろうとは思っていたが、実際に思った通りの反応をされると笑いたくて仕方なくなってしまう。 まずいまずい、一応自分は『新入り』なのだから、と、軽く咳払い。 それにしても―――。 「生きていたのか、ってね………」 連中の驚いた顔を思い出してライルは皮肉げに頬を歪めた。 ひとりきりの個室。 窓の外は宇宙。 見えるのは地球。 ああ、思えば遠くに来たものだ。 無意識に上着のポケットを探って、此処に来る直前に煙草は始末してきたのを思い出して軽く舌打ちした。中毒ではないが、なければないで物足りない。しばらくは苛立つことだろう。 溜息をひとつ。とっとと着替えてくるんだなと命じられた制服へ腕を通しながら、もう一度彼らの反応を思い返してみた。 突然ヒトを呼び出して妙なコードネームで呼んでくれた黒髪の男。 出迎えるなり動揺し、固まってしまった明るい髪をしたオペレーターの女。 激しく選別するような眼差しで睨みつけてきた紫の髪の少年。 どいつもこいつも数年前まで「子供」だったのだろうと思うと、何だか本当に笑えてきてしまった。 そんなにあの男の面影が欲しかったか。 自分たちは容姿こそ瓜二つであったけれど、ニールの方が年下に対しては優しかった。妹のことだってホント馬鹿だなあと思うほどに可愛がっていた。自分も妹は可愛く思っていたけれど、兄よりは愛情表現が荒っぽかったから、妹も素直に甘える対象としては向こうを選んでいた。 「―――良かったじゃないか」 随分と仲間から慕われていたみたいで。 「良かったよ。なあ、兄さん」 慕われたまま消えることができて。 毎年、毎年、同じ時期に墓に供えられていた白い花。 連中は四年かけて事実を受け入れたのだとしても―――自分が確信したのはつい先日のことだから、ちょっとばかり悪趣味なからかいのネタにしたっていいに決まってる、と。思う。思うのだ。 だから。 自分が属するのはソレスタルビーイングじゃない。カタロンだ。自分で考え、自分で決めた道だ。「彼」とは違う。 「本当に良かったよ。なあ? ニール」 鏡の中の男は笑う。 ―――なのに。 |
不在証明
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「二期3話が放送される前にやっちまえ!」的な突発ネタ。
ライルさんの性格が未だ曖昧なので、たぶん後で恥ずかしさに悶死することになると思うけど
まあいいや(………)
最後の一文は例によって反転ネタであります。
個人的にはディランディ家の双子は淡々とした関係でもいいと思ってます。ふたりともおとなだし。
テロが憎いって思いは同じでも表出の仕方は異なるだろうし。誰かに「兄さん(弟)のことが好き?」と訊かれたら
「嫌いじゃないけど気に入らない」って答えるのが男兄弟ってイメージがあるし(どんなんだ)
分かりやすく言えばつまりはツンデ(ry