「空を飛んでみたいか」 基地の中でじっと空を見上げていると、そう、声をかけられた。 「ここは疾うに空の上です。これ以上、飛ぶ必要性を感じられません」 此処に来る時、俺の機体に乗ってきたけど、気持ち良さそうだったじゃないか。 太陽に照らし出された眩しい甲板。 「お前はあいつと相性いいみたいだったな。よかったよ」 機械の方が正確だ。 深くを考えているようであり、他意なく発言しているようでもあり。 例えば、頻りに空へといざなうのも、抜けがある『ガンダム』シリーズのパイロットに推挙したいからだろう、とか。 色々と思うことはあるけれど。 知り合いが戦いに身を投じることに強い拒否感を示すくせに、自らの意志があると知れば途端に口数が少なくなる。 太陽を見上げて目を細める。 人類は『空』を封じられて久しい。封じられているからこそ望むのか。 空であっても、地下であっても、前であっても後ろであっても。 ―――『ヴェーダ』。 そうですね。 「………あなたの傍らを飛ぶのは、それなりに楽しそうだと思います」 |
託宣マイノリティ
|
軍にやって来た直後のティエさんと兄貴の会話でした。
あまり深い意味はない(笑)