※今回は小一郎くんがかなり壊れています。
※史実の彼に心底ほれこんでいる方は、この先はけっして目を通さないようお願いします〜。
※「とりあえず半兵衛が出てればいいや」とゆー方なら大丈夫とは思いますが(苦笑)
きっかけは、本当に些細なことで。 「―――先生って、美人ですよね」 その、問題発言は。 |
― 天衣無縫 ―
大抵、何事かが起きた時に役割は大抵二分される。 即ち、慌てる役と慌てない役だ。 其れで言えばおそらく自分はいま確実に前者になっているのだろうと遠のきかけた意識をどうにか踏み留めて半兵衛は考えた。こんなん悠長に考えてる辺りが既に現実逃避の表れなのかもしれないが。なにしろここには己と発言者たる小一郎しかいない。馬鹿を申すな! と一蹴してくれる秀吉もいなければ、そいつぁ面白ぇ! と豪快に笑い飛ばしてくれる小六もいないのだ。 ある意味、窮地である。 ふたりして並んだ縁側に射し込む日の光はやわらかく、眼前の庭の紅葉は美しかったが、そんなん愛でてる場合ではない。 こほんと軽く咳払い。湯飲みを握る手にさり気なく力を篭めながら努めて笑顔で半兵衛は問い掛けた。 「―――いきなり何を申されるのですか、小一郎殿。誰が………何ですと?」 「あ、はい。先生って美人だなあと思いまして」 「………」 「いま改めてそう感じたんです。立ち居振る舞いとかもやっぱそこいらの田舎侍とは違うよなーって。あ、勿論、以前から美人だとは思ってたんですけどね?」 前からかい! ―――との突っ込みはかろうじて内心に留め置かれた。 もし半兵衛に劣等感があるとすれば、それは己が外見に他ならなかった。武士にしては痩せてるし、線は細いし、女装するまでもなく周囲に女と思い込まれる可能性が高いことぐらい承知していた。事実、先だってもそれで友人の長政にいいようにからかわれた訳だし。 周囲からすれば「贅沢な悩み」になるのかもしれない。 かといって本人が満足しているはずもない。鍛えても一向に太くならない二の腕とか、日に焼けない肌とか、寒くなると寝込んでしまう腺病質なところを実は結構気にしていた。片割れである総兵衛は既に悟りの境地に達しているようだったが半兵衛としてはもう少し粘りたいところである。 そんな彼にしてみればいまの小一郎の発言はかなり問題だった。 無論、小一郎は純粋な賞賛の意味を込めて告げてくれたのだろう。年下の己を「先生」と呼んでくれる、この上司の弟に、深い意図などないことぐらい分かっていた。 半兵衛は内心の狼狽など表には露ほども出さなかったから、気付くことない小一郎は暢気に茶など啜っている。 「先生に会うと眼福って言葉を実感するんですよ。義姉さんも美人なんですが結構きつい方だからどうもなー。やっぱ添い遂げるならあんまし綺麗でなくてもいいから穏やかで気立てのいい娘と」 「そうですか」 漸う己の外見から話がずれたかと思いきや。 「でも普段から先生のこと見てますからね。絶対、目が肥えてますからね。先生に太刀打ちできる女性ってなかなかいないと思いますし」 ―――全然ずれていなかった。 微妙に頬を引き攣らせながら半兵衛は年上の教え子を窘める。 「斯様なことを申されては世の女性から顰蹙をかいますよ? 女性同士の比較でさえ波を荒立てるというのに、男である私と比べられては―――」 「あ、その点は大丈夫です! 先生に会えば誰でも納得しますから」 にっこりと笑って頷く。 誰か何とかしてくれ、と半兵衛は非常に泣きたい気分になってきた。 トタトタと足音が響いてカラリと奥の障子が開かれる。 「ふーっ、疲れた〜………って、お前ら何やってんだ?」 「あ、兄さん。お帰りなさい」 「お疲れ様です」 本来の部屋の主である秀吉が帰還して半兵衛はほっとした。場の空気を感じ取ったのか秀吉は軽く首を傾げつつ、敢えて追求することはなく座布団の上に腰を落ち着けた。 半兵衛が勧めた茶をガッと一気飲みする。 「商人たちとの面談はどうでしたか?」 「ああ―――実りがあったんだかないんだか。将軍はああだしな」 苦虫噛み潰したような顔で秀吉がぼやいた。 織田が京に在留するようになって以来、益に敏い商人連中からの接触も増えてきている。まさかいきなり将軍に面通しできるはずもなく、秀吉や光秀といった手前の段階でそれなりに相手を計っておく必要があった。やたら疲れる作業だから交代で行っていたのだが―――。 「腹の探り合いは別に構わん。が、将軍への見え見えな世辞を聞いていると背筋が痒くなってきてな」 意外と潔癖なところもある秀吉は上辺だけの賞賛をひどく嫌っていた。 おおよその刻限を見ていたらしい小一郎がゆっくりと腰を上げた。 「じゃあ、そろそろ交代の時間だね。行って来るよ」 「ああ」 「無理はなさらぬように」 互いに目礼を交わして辞去する小一郎の姿を見送った。 障子が閉められてから少しの合間を挟んで半兵衛の口より微かなため息が零れた。当然、眼前の人物はそれを見逃してくれるような相手でもない。部屋に戻った折の雰囲気からして何かあったと勘付いていたのだろう。 僅かに膝を寄せて問いを発した。 「―――で、何があったんだ?」 「何もございませんよ」 咄嗟にそう答える。 と言うより、そうとしか答えようがない。 仕方が無いではないか―――正直に答えたところで秀吉が呆れるのは目に見えている。 「何でもないって顔じゃないぞ。悩みでも打ち明けられたか」 「悩みであれば例え貴方様が相手であろうとも口を割ったりは致しませぬよ」 「無駄に口が堅いからな、お前は」 舌打ちして、しかしながら最近粘ることを覚え始めた上司は腕を組んだまま部下を睨みつけた。 その科白は即ち逆説的に言えば。 「個人的な悩みでなければ話す、ってことになるよな?」 してやったりと言った笑みを頬に刻み込みながらの宣言。 「屁理屈ですね」 「屁理屈、結構!」 苦笑まじりに非難してみても意に介した様子は見られない。 やや諦めを含んだ感じで外を眺め、考えを改める。そうとも、別に大したことではないのだから―――いつも通りの微笑を浮かべると常と変わらぬ口調で彼は応じた。 「大したことじゃないんですよ、本当に。面と向かって美人と褒められただけですから」 「………は?」 ぱき、と音を立てて秀吉が固まった。 おお、見事なまでに目が見開かれてるな、と内側で総兵衛が感心した。 「あそこまではっきり言い切られたことはなかったので少し―――いや、かなり動揺したと申しますか」 相変わらず静止したままの秀吉に悪いとは思いつつも先を続けた。 「褒められて有り難いことは有り難いのですけどね」 「………」 「年齢は違えどもあの方を見ていると故郷の弟を思い出します。そういう意味では私も小一郎殿をお慕い申し上げていると告げて何ら差し支えないですし」 「………」 「しかしやはり武士たるもの外面よりも内面を重視し―――、って、秀吉殿?」 石のように硬直して瞬きすらしない上司が徐々に心配になってきた。 そっと手を伸ばして肩を揺り動かせば、漸う魂が帰還を果たしたのか慌てて首を左右に振った。妙なものにとり憑かれたかの如く首筋を己が手で軽く撫でさすり、明らかに身震いしてみせた。 訝しげに眉を顰めながら半兵衛は相手の顔を覗きこむ。 「―――秀吉殿?」 「え? あ、ああ、すまん。ちょっとな」 「疲れが溜まってらっしゃるのですか」 「そうじゃない、が、少し考えててな」 しばしの硬直のあと、何を思いついたのか実に人の悪そうな笑みへと表情を切り替えた。自らの肩に触れていた半兵衛の手を取り上げて、やたら自信あり気に言い放つ。 「丁度いい。実はさっき会談した商人から見合い話を持ち込まれてな………俺自身は既婚者ゆえにと断りを入れたがこの際だ。小一郎を使ってやる」 どの辺りが「丁度いい」のかは皆目見当もつかなかったが。 つまるところは見合いであろう。このご時世、政略結婚は世の習いゆえに秀吉の判断自体が過ちとは思えない。 だが、かなり女性に夢見てる小一郎が素直に受け入れるだろうか。秀吉が相手方に弟を紹介する以上、相手とて脈ありと踏むはずだ。それはあまりにも勝手に過ぎやしないか。 表情を僅かばかり曇らせて諌めてみた。 「小一郎殿自身に断りもなく話を進めるのですか?」 「断りは入れるぞ。見合いの前日ぐらいにな! なーに、あいつ、このところ『気立てのいい娘と付き合ってみたい』って散々ほざいてたからな。いいんだよ」 ―――本当にいいんだろうか。 『良くなくても面白そうではあるよなぁ』 脳裏では暢気な半身が穏やかな笑い声を響かせている。 他人事のように言うな、いずれは己に返ってきそうな刃だぞ、と半兵衛はひとりため息をつく。 すっかりその気になったらしい秀吉は見合い内容について滔々と語り始めた。 話によると、商人は商人でも重火器類や衣類の取り扱い店ではなく、老舗小料理店の主らしかった。何人かいる娘のひとりが年頃になったので結婚相手を探していて、輿入れの提案も木下組の出世を見込んでと言うよりは、話している間に秀吉の人柄が気に入ってぽろりと言葉が漏れてしまったようだ。 ならば娘は断るかもしれないと思いきや、よく躾けられた娘らしく「父上の申します通りに」と回答し。 もう一方の当事者はと言えば。 「嫌ですよ」 と、流石に最初は腹立たしげな顔をしたものの。 「でもな、小一郎。曲がりなりにも会う約束をしちまったから一度は対面しないとウチの沽券に関わるんだ。会った上で断るならそれでもいいから」 「けど―――断ったらそれこそ角が立つんじゃないの? あるいは、向こうから断られたらそれこそ木下組の権威がさ」 「あってなきが如しの権威なんてどうともねぇよ。なに、全ては秘密裏に運んである。上手く行けば上様に報告、上手く行かなきゃ闇に葬る」 果たしてそんな思うように事が運ぶものか。 甚だ疑問に感ずるところではあるが、秀吉がこうと言えばこうなのだと思えてくるし、足りない部分は己らで補えばいい。 多少の諦観と忠心の狭間で成り行きを眺めていた半兵衛に突如として小一郎は水を向けた。 「先生はどうお考えですか」 「どう―――とは」 「見合いなどして良いものかと問うておるのです」 小一郎は真剣な眼差しでこちらを見つめてくる。 多少の戸惑いを覚えながらも半兵衛は思うところを述べた。 「そうですね………商人と繋がりを持てる点から言えば利、個人の関わりから申せば利だけに非ず」 「害があると?」 「全てはあなた次第ですよ、小一郎殿。あなたが相手の方を気に入れば吉、気に入らねば凶。周囲の意見も圧力も考慮する必要はございませぬ。己がこころを偽り意にそぐわぬ相手と添い遂げたならばそれこそ我らにとっての害となりましょう」 「おい、半兵衛」 最初から小一郎を擁護するようなことを言うんじゃない、と秀吉が苦言を呈す。 「良いではないですか。もしかしたら本当にその方が運命の相手やもしれぬのですし」 そうであれば、このような意見などただの杞憂になりましょう、と。 上司の言葉にも頓着せず半兵衛は淡く微笑んだ。 じぃっと感情も見せずに発言者を見つめていた小一郎は、何を決心したか急ににっこりと笑い。 「分かりました。お会いするだけ、お会いしてみましょう!」 と、高らかに宣言したのだった。 見合い、というのもおかしなもので。 大抵は「家」と「家」との遣り取りで、本人同士は面通りも叶わずに婚姻当日を迎えるのがほとんどだ。そこに個々人の意思が含まれようはずもなく、武家や良家の子息子女ともなれば親兄弟の都合でくっ付いたり別れたり、国家間の同盟の証がそれであるとは何とも虚しいことだ。輿入れした娘は人質であると同時に間者であり、同盟を続けるための繋ぎ役であり、そんなことに生きる価値を見い出すよりは想い想われる相手と添い遂げるが良かろうと半兵衛は考える。 かくいう彼自身もかつては家の都合で縁組をされていた。 安藤家の次女との婚約を、だが、半兵衛は破棄した。 この辺り色々と複雑な事情があったのだが、「已むを得まい」と諦めた安藤当主のもとに「私は長女の伊予殿を頂きたいのです」と直談判しに行ったのは家臣の間では有名な話である。 (そんな個人的な過去話はおいといて、だ) 結婚させるより先に直接会わせてやろうと考える辺りは秀吉の最低限の兄心なのかもしれない。 小一郎と相手の見合い場所は都外れの寂れた寺で行われた。他の誰にも事がもれないようにという心配りである。 『要するに体裁見繕ってるんだよな、体裁』 (いいから黙ってろ) 内心で相棒に手刀を食らわせて、薄目を開けて眼前の光景を眺める。 手前には秀吉と小一郎が。 更にその向かい側には相手の令嬢とその親が穏やかな笑みで控えている。 どんな人物かと危惧していたが見る限り悪人とは思えない。父親は頼りなげな笑みと性根の善さを窺わせる空気を纏わせていた。傍らの娘も際立つ美人ではなかったが、大事に育てられた者に特有の甘さとふくよかさが浮かび、大きな目が特徴の可愛らしい顔立ちをしていた。 小一郎がどんな表情をしているのかは分からない。けれど、少なくとも相手方が彼を気に入っただろうことは雰囲気から察せられた。共に茶を飲み、必要最低限の言葉を交わし、折りをみて秀吉と商人が腰を上げる。「あとは若いもの達に任せましょう」という、あれだ。 無論、半兵衛もそれに従う。 互いに弟と娘を見合わせた同士といえど腹を割って話す間柄には未だ至っていない。ひとり立ちしそうな娘に寂しさを覚えているらしい父親はそっとしておくとして、木下組の上司と部下は並んで寺付近の川縁へと歩を伸ばした。 秀吉が足元の小石を川に放り投げる。 「………上手く行きそうだな」 「そうですね」 続いて投げ込まれる礫の軌跡を何とはなしに半兵衛も目で追った。 「なんか―――複雑だな」 本当に困惑しきった口調で秀吉がぼやく。 「上手く行けばいいと思ってたのに、実際に上手く行きそうになると妙に淋しくなるもんだ」 「それは」 僅かな笑みを零して同意する。 「私も同じですよ。私にとっても小一郎殿は―――やはり、弟のようなものですから」 ふたり共に言葉の続けようがなく何とはなしに沈黙が流れる。 幾つめかの小石を投げずに手の上で転がしながら、膝を抱え込んだ秀吉がぽつりと口にする。 「お前らにとってあいつは、弟、なんだな」 「ええ」 「でも―――あいつにとってのお前は、兄、じゃないよな」 「それは」 そうでしょうね、と頷きつつ首を傾げる。自分は小一郎を「弟のような」感覚で見守っているが、果たして小一郎が「兄のような」感覚でこちらを見ているかと言うと疑問が残る。純粋に尊敬し慕ってくれる感情の数々は時折り妙に半兵衛たちを惑わせる。元来、真っ直ぐな感情には弱い性質なのだ。 『総兵衛たちは捻じ曲がってるからな』 (………否定はしない) ただでさえ思考回路はふたり分だから傍から見た『彼』はなかなかに窺い知れない人物と化している。 秀吉に倣い半兵衛も足元の小石を川に放り投げた。水面に波紋が広がり、やがて消えていく。その様を何の感慨もなくただ見つめながら。 しばし並んで流れ行く川面を眺めていたが、いつまでもそうしている訳にもいかない。 どちらからともなく立ち上がると来た道を引き返した。 室内には主役のふたりだけでなく、相手方の父親も既に座していた。見た感じ、小一郎と娘の会話は終始円満に終了したようである。それが証拠に三人とも穏やかな笑みを浮かべていた。 商人が頭を下げる。 「秀吉様、この度は誠にお世話になりもうした。差し出がましいとは存じますが、以降も何卒よしなにお願い申し上げます」 「なに、こちらこそ。斯様な席を設けて頂き感謝の言葉もございませぬ。他人行儀な真似などお止めください。我らは然程に敬われるような誉れ高き家柄の者ではございませぬゆえ」 応じて頭を下げながら秀吉も当たり障りのない言を重ねる。 更に二言、三言と互いが言葉を交わす横で、並んで頭を下げていた娘がそっと面を上げるとはにかむように微笑んだ。 「小一郎様………いずれ、また」 「ええ。いずれ、また」 答える側も親しみのこもった笑みで返すので。 ならば十中八九、間違いはなかろうと素早く半兵衛と秀吉は目配せをした。 本決まりとなればなったで色々と準備が必要で忙しくなるのは目に見えているのだから。 商人の親子を通りの先まで見送る。本来ならば自宅まで送迎すべきであったろうが、何せ秘密裏に事を運んでいる身の上である。自分たちの武士姿は人目につきすぎた。その旨を謝罪すれば「お気になさらず」と笑って返される。つくづくお人好しの親子らしい。 またぞろ寺に引き返し、居間に座り込んだところでほっと秀吉が息をついた。 「―――こういったことにはどうも慣れないな」 「全くです」 しみじみと半兵衛は頷いたが、すぐさま「嘘をつけ」と返されてしまうのは日頃の行いの所為だろうか。 先刻までとは異なり行儀悪く膝立てて座りながら実弟にあごで問い掛ける。 「んで? どうだったんだよ、感想は」 「感想、ですか。そうですね………」 余ったお茶を淹れ直す半兵衛の横で僅かに小一郎は宙を見上げた。 「気の合う方でしたよ。丁寧で、控えめで、笑顔もかわいらしいですし。ああいう方と過ごせたならばきっとしあわせだろうなと思います」 「………そうか」 秀吉はただそれだけを零した。 「さいわいこちらのことも気に入ってくださったようで、またお会いしたいと先ほども話していたのですが」 「そうですか」 湯飲みを差し出しながら半兵衛も穏やかに笑う。 「いつお会いするかなどは既に決められたのですか?」 「いえ、それはまだ」 礼と共に湯飲みを受け取った小一郎が笑う。 「いつでもいい、と仰られたので」 もしかしなくてもそれは最上級の回答なのではなかろうか。 巣立っていく子を見守るような複雑な心境のままそっと零した。 「―――これでいよいよ小一郎殿も妻帯者、という訳ですね」 「だな」 やれやれと呟いて秀吉が僅かに目を伏せる。 感じ入っているふたりに対して何故か当事者たる小一郎だけがきょとんとした表情で目を瞬かせた。妙に気まずげに頬を引っ掻くと、おずおずと申し出た。 「あの………兄さん。それに、先生」 「何だ」 「いつの間に結婚したことになってるんです? まだ式も挙げてないのに」 「これから挙げればおんなじことだろ」 「どうして」 幼子のように頬を膨らませて小一郎は反論した。 「見合い話は断ったのにですか?」 「………………は?」 ………と、まあ。 ここで話が終わっていれば兄想いかつ仕事想いの弟、とゆーことで綺麗に決着がついたものを。 「これだから天衣無縫って………」 総兵衛も内側で突っ伏しながら嘆いていた。 |
小一郎くんの性格に『陰陽』からのフィードバックが起きているよう、な………(汗)
ま、まあ、単品扱いのちょっとだけパラレル設定な感じだから問題ない―――か、な??
つまりは憧れの軍師様をすぐ傍でお守りしたいので当分は結婚まで頭が回りません、とゆー話。
彼が半兵衛に向けている感情はちょっとドリーム入った憧れだけだからカワイイもんです。
決してソッチの気があるわけではありません。ありませんたら。
調べたところ小一郎くんにはお子様がいるので、結婚したのは間違いなさそうなんですが、
どーも相手がハッキリしないんですよね。奥さんの名前らしきものは発見しましたが、じゃあ何時頃
出会ったんだとか、奥さんはどんなヒトだったんだとか、お子様がいつ生まれたんだとかになると
ワタクシの拙い探査能力では情報を掴みきれませんでした☆
と、ゆーワケで当サイトの小一郎君にはしばらく独身を貫いて頂きます。
イザとなったら人知れず結婚してもらうからそれで許してちょーだいねv ← オイ。