「戦え! ボクらのコロクンガー!!」

65.parting present

 


 たとえばその戦いはもう春頃には始まっていて、その頃と比べれば随分と事態が変わっていて、退きたいのに

退けない状況にいつの間にかおいやられていて、戦いに嫌気がさしてしょうがないのに、もうやめたくて仕方が

ないのに相変わらず刀を振るい続けているコトがある。

 実はそもそもの原因はずっと前から始まっていて、それこそ10年単位の計算じゃきかないぐらい昔に発端があ

ったのだとしても『現在』にいる当事者たちにはどうにも手の打ちようがない、惰性の戦い、慣れた習性、無意識

の衝動。戦うことに疑問を持ったら終わりだと言うように次々と騒ぎが起こるのは何ゆえなのだろう。




 ―――などと取り留めのないことを考えられているのはいざ戦闘に突入するまでの僅かな合間。コトが動き始

めてしまえばしがない一個人には逆らいようがない。と、日吉はらしくないため息をついた。

 このところの騒ぎで忘れられがちだが日々の業務はきちんと行っている防衛隊。司令の立場の悪化でコロク

ンガーの出動には制限がかかってしまったがまだまだ個々人の活動は行ける。ゆえに、今日はとあるテレビ局

内に忍び込んだ宇宙人退治に乗り出していた。








 都内の観光スポットに位置する某テレビ局は夕方のニュース報道を控えてごった返している。そんな中に宇宙

人が侵入して、更には実働部隊が殴りこんで、そしたら敵さんがロボットなんか用意してきていてはっきりいって

報道どころじゃない―――はずなのだが、どこからかハンディカメラを持ち出して「緊迫の実況レポートです!」と

叫んでいるキャスターの兄さん姉さんはマジでつわものだと思う。

『いま! 我々は! 防衛隊と宇宙人のロボットが激突せんとするAスタジオの近くに潜伏しています! すっ、

すごい、すごい煙です! 前が見えません! おそらく局内は壊されまくっているでしょう! 開局50周年の記念

モニュメントもこの間無理して購入した新型PCも大切な記録映像の数々ももはや風前の灯火です! ちなみに

わたくしはきちんと労働手当てが出るのかをヒッジョーに気にしております!!』

「………って、うるせ―――っっ!! 命が惜しかったらすっこんでろリポーターその1!!」

「とっ、殿! 落ち着いてくださぁぁぁいっ!!」

「そーそー、結局突入すんのは俺らなんだしー?」

 響く信長の絶叫。日吉が泣いて五右衛門が笑い犬千代が冷や汗をかくいつもながらの状況だ。さっきから苦

心してロボットを追い詰めようとしているのに後ろからゾロゾロとついてくる記者連中のおかげで作戦が捗らない

ったらありゃしない。素人はすっこんでろ、と警告してもますます騒がしくなるだけの報道陣相手に既に信長は血

管が数本切れ掛かっていた。

 ふ、と冷めた笑みを浮かべる。

「くくく………いっそのこと事故を装ってこのテレビ局ぶっ壊すかぁ………?」

「殿っ! さすがにそれはヤバイです!」

 犬千代が冷静なツッコミを入れる。

「やかまし―――っ! 大体俺は視聴率をカサに着た態度がでぇキライなんだよっ!!」

「『レンジャーズ』は見てるくせにー」

「黙れスッパ、それとこれとは話が別だっ!!」

 スタジオ奥のロボットさんよりも何だかこっちの活火山の方がヤバゲである。

 ちなみに『レンジャーズ』は日曜の朝9時より絶賛放映中。レッド、ピンク、ブルー、イエロー、ブラック隊員が繰

り広げる究極の特撮エンタメ番組である。毎回登場するゲスト怪獣たちとの戦いや時にほろりとさせる人情話が

幅広い年代に受けている………らしい。ちなみにCMの合言葉は『失楽園遊園地でボクと握手!』(オイ)

 身内でさえ呆れるぐらいなのだから影に潜んでいた敵の苛立ちなど言わずもがな。濛々と舞い上がる破砕コ

ンクリートの向こう側、黒い物体がムクリと起き上がった。宇宙人側攻撃用ロボットSD-Rタイプ3、遮光レンズを

通しては搭乗者の顔さえ分からない。

『ええい貴様ら! 何をほざいておるのだっ。いまこそ我らが鉄槌を喰らうがよい。目にモノ見せてくれようぞ!』

(※棒読み)

 まさか中身は台本片手に踏ん張っているザコズだとこちらは知る由もない。

 不敵な笑みを浮かべた信長が日本刀を構えて仁王立ちとなる。

「へっ………ちょーどいい。訓練ばっかで実戦に役立てたことがなかったからな。試してみようじゃねぇか」

 一体何を試すつもりなのかと隊員たちの心配そうな視線を受けて、彼はしれっとした顔で呟いた。




「言霊の威力、ってやつをよ」








「言霊………? 何だそれは」

 眼前のスクリーンを見つめて天回は眉をひそめた。どこかで聞いたことがあるようなないような、偵察用ロボッ

ト『バード・ウォッチング』が送信してくる映像はいまいち不鮮明で判断に苦しむ。再度の問いかけを一番の新入

りに向ければ彼は壁に寄りかかったままの体勢で答えを返した。

「竹中教授の置き土産さ。ブラックにも使っていたインパクトの際の術式を個々の武器に反映させる方法………

数十人単位で動かすのより威力は劣るけど小回りは効くよな」

 言葉を武器に『仕込む』ことで発動を容易にし、攻撃力を高める。一時とはいえ訓練に参加していた秀吉には

大方の仕組みが理解できていた。

 同じく傍らで戦況を眺めていた宙象が鼻先で笑う。

「偉そうに語るものだな。任務に失敗した輩が」

 それ以上に冷酷な笑みを秀吉が浮かべる。

「まんまとコピーを壊されたお前に言えた義理か?」

 第一、俺は任務に失敗した訳じゃないと言葉を重ねる。

「こっちでもまだブラック・ボックスの発動条件がしっかり掴めてる訳じゃないんだろ? 奴らに調べさせるだけ調

べさせて、後で研究結果ごと頂戴すればいいのさ」

「―――まぁいい」

 部下どものくだらぬ言い争いに飽いた天回はすぐに視線を画像へと戻した。

 伝え聞く威力などよりも実際の影響力だ。破壊力が格段に増すというのならば、実演してもらおうではないか。

密やかに天回は地上のザコズに指示を出した。








 眼前のロボットが鈍い眼光を放って大きく拳を振り上げる。その手に握られた巨大ハンマーは威力も明らかな

武器だ。外見がどこかボケていても馬鹿にはできないことを隊員は知っている。信長は深く息を吸い込んで視線

を鋭くした。




(命じる―――奴を倒す力を、打ち壊す力を、叩きのめす力を………)




 込めるのは意志、言葉そのものではない言葉が『言霊』だ。念を込めろと精神を集中しろとさんざ言われたが、

果たして上達したのかどうか自分でもよく分からない。

 だからこそ、試すのだ。

『死ね! 地球人!』

「死ぬかよ阿呆!!」

 打ち下ろされる鉄槌と立ち向かうか細い刃。誰がどう見ても勝敗は明らかなはずだった。

 ―――が。




 キィン………ッ!!




 甲高い音を立てて弾き飛ばされたのは鉄槌だった。鋭い切断面をさらし、切り落とされた半分は重たく床に皹

をいれる。背後で五右衛門が口笛を吹いた。

「やっるぅ………ってか、マジで武器に言霊封じた甲斐があったみたいじゃん?」

「ふん―――なるほどな」

 少しの冷や汗を流しながら信長が笑みを深くする。

 意志を込めれば込めるだけ強くなる可能性がある………使いどころを間違えればとんでもない事態を引き起

こしそうな。

 やっかいなモノを伝授してくれた相手に皮肉のひとつも投げつけたくなる。しかし。

『おのれ! こちらの武器がそれだけだと思うなよ!?』

 いまは―――眼前の敵を倒すことに専念せねば。

「はん! 今更てめーごときが俺に敵うかよっ!!」

 再度、日本刀を構え直して不敵に笑う。




「くらえ! 信長スーパーウルトラ鮮烈鮮明千年殺し――――――っっ!!」

「って信長様っ! その技はぁぁ―――っ!!」




 突っ込みを入れたのは日吉だけだった。

 突撃してくる敵ロボットに狙いを定め、攻撃を繰り出す一瞬だけ笑みを納めてひどく冷静な眼差しをする。構え

打ち下ろすのは左肩より右脇にかけての一撃。残激が舞う土埃に明確な軌跡を描いて閃く。

 鳴り響く、金属を切断する音と弾き飛ばされた敵の右腕が撥ね飛ぶ残響。

 前傾姿勢になるロボットに感嘆の声を上げる他の面子と異なって日吉は些細な点ばかり気になって仕方なか

った。「よし!」と頷きひとつ、刀を鞘に収める信長の後ろで何故か項垂れる。

「信長様………どうして決めの科白が『レンジャーズ』なんですかっ………!」

「咄嗟に口をついたんだから仕方ねぇだろうがっ!!?」

 ―――そう。

 信長の叫んだ『スーパーウルトラ鮮烈鮮明千年殺し』は『レンジャーズ』におけるレッド隊員の必殺技………だ

ったり、する。真横でゴエモン大爆笑。

 存分に笑い転げたブルー隊員は腹を抱えて立ち上がった。すっと指差した先に新手の一体が佇んでいる。

「いいなぁ、それ! 隊長ってばサイコー!」

 ―――俺もなんだかんだであの番組好きだかんね。勧善懲悪ってわかりやすくていいじゃない?

 囁き、隣の犬千代の背を叩く。

「どーよ、イエロー。俺たちも付き合ってみたりなんかちゃったりしない?」

「はは………あまり嬉しくないような面白いような」

 言いつつ槍を握り直す辺りやる気が窺える。

 挟撃する予定だったのだろう、相棒を倒されたもう一体は右往左往している。その隙を見逃さず五右衛門が右

手に、犬千代が左手に回りこんでそれぞれの武器を素早く繰り出した。

 『言霊』を秘めた一撃が閃く。




「五右衛門ハイスピードマテリアル峻烈瞬殺三千世界!!」

「犬千代ダイナミックダイナマイト激烈激越国士無双―――っ!!」




 ズガッッ!!




『ぬぉぉ―――っっ!!?』

 肩口から両の腕を切り落とされ上体が揺らめく。攻撃の余波を受けた周囲の壁がガラガラと崩れ落ちた。

 笑顔で五右衛門が後ろを振り返る。見つめられてサッと日吉が青ざめた。

「さ、日吉。次はお前の番だv」

「ひっ!? い、いや、俺はいいっ、俺はいいよっ!! だって敵ってばもう瀕死だし!?」

「そんなこと言わないでさ〜、きちんと科白はここにメモしてあるから。なっ♪」

「用意するなよそんなモン! いや―――っ! あんなハズかしい科白死んでも叫びたくない―――っっ!!」

 叫んじゃえば結構気持ちいいモンだぞ?

 と、五右衛門が嘯く。普段と違いやたら強要する彼の頭の中では「なーんかこれって羞恥プレイみたいでおもし

れー♪」なんて考えが巡っていたなんてことは絶対のヒミツである。

 そりゃあ技の名前ぐらい知ってはいるけれど、何も『言霊』を封じた武器を使うときにわざわざそんなモノを、と

日吉は思うのだが。




 ―――しかし。

 五右衛門も犬千代もやったのにひとりだけ実行しない人間がいるととてつもなく不機嫌になる方がこの場には

いらっしゃるのであった。




 頬をひくつかせ、こめかみに怒筋を刻んだ信長が日吉の頭をグリグリと押さえ込む。

「のっ、信長様………」

 ダラダラと日吉は冷や汗を流す。ギギ、とてのひらの圧力を強めながらいっそ不気味なほどに信長がにこやか

に笑った。

「―――サル」

「………………い」

「嫌だなんて言わねぇよな―――ああ?」

「………………」

 もはや血の涙を流すしかない。しかも、折りよく立ち直った敵ロボットがこっちに刃を向けたりしてくれるものだ

から。

 自棄もここに極まれりといった感じで振り向き様に日吉は高々とくないを掲げて叫んだ。ズッパリ切り裂ける敵

ロボットにすごい威力だなーなんて感心する暇も余裕もなく高らかに。




「ひ、ひよピン・ラブリープレミアセクシー爽快痛快百年戦争ぅぅぅ―――っっっ!!!!」




 ッド―――ン………!!




 ひとむかし前の特撮の如く砕かれたロボットが爆発、炎上する。直前にロボットから飛び出したザコズが<ゲ

ート>の光に飲み込まれて消えたが、粉塵おさまらぬ現場では生憎とそれに気付く人間はいなかった。そうでな

くでも何だか現場は大混乱である。

 日吉はガックリと膝をつき信長は頷き犬千代は苦笑し五右衛門に至っては欣喜雀躍。

「うわぁぁん! もぉやだ―――っ! ってか何故に俺だけ名前の部分がひよピン!?」

「俺の趣味♪」

「五右衛門の趣味なんか知るもんかっ!! もぉ俺、帰るぅぅ―――っ!」

 ってゆーかメモ通りに読み上げる必要もないだろう、ひよピンよ☆

 おそらくは「ラブリー」と「セクシー」という単語を言って欲しかっただけの五右衛門とは対照的に、日吉はすっ

かり悲嘆の淵に立たされている。更にそこに報道関係者が突入した。

『おおっと! これはどうした事でしょう! 現場が荒れているとは予測していましたがまさかここまでとは! し

かも防衛隊は仲間割れをしている様子。何故か? 何故なのか!? 果たして如何なる悲劇が彼らを襲ったの

でしょうか! スタジオさん、如何思います!?』

『ええ、実はここに望遠カメラで録画した映像が届いておりまして………防衛隊は見事! 当局の人気番組『レ

ンジャーズ』の技を使って敵を倒したようで、おそらくこれでキッズ人気も』

「さり気なく自社の宣伝に使うんじゃねぇ! 織田連合はてめぇらと提携なんざしてねぇぞ!」

 信長がリポーターを踏み倒し証拠物件のビデオを叩き割った。傍らで五右衛門がカメラを奪って大破したロボ

ットをカラカラと撮影する。

「たいちょー、織田連合はちがくても防衛隊は提携してるかもよ? いつかのキャッチコピーでさぁ、‘おはようか

らおやすみまで、防衛隊が守護する………’」

「上役の思惑なんざ俺が知るかっ!! 俺ぁな、なんでも視聴率に繋げようって姿勢が大嫌いなんだよ!」

「『レンジャーズ』の視聴率には貢献してるくせにー」

「黙れスッパ、それとこれとは話が別だっ!!」

 ………現場の混乱はしばらく収まりそうにもなかった。








「………………」

 宇宙人基地はイタイまでの沈黙に包まれていた。

 それはそうだろう、敵に真っ当な技でやられたならまだしも、あんなフザけた叫びの数々でノックアウトされてし

まったのだから。「恥ずかしい技名を叫ぶばかりが『言霊』の使い方じゃないんだぞ」、と思わず誰に向けたか分

からない弁明を繰り返したくなる秀吉である。

 見事に石化した天回はしばらく復活すまい。実はこの老人も『レンジャーズ』の隠れファンだったりするのだか

ら感慨もとい衝撃も一入だろう。

 宙象と幻夜がこぞって介抱にかかるより先、早々に秀吉は退出した。




 暗い廊下の突き当たり、基地の中心部へと続く道。たどりついた先に何があるのかを新参者である自分は未

だ教えられていない。信用された訳ではなく、ただ利用されているだけなのだと眼前の扉が突きつけても、今更

恨みに感じて同僚の足を引っ張ったり天回に媚びたりする必要性もないと鼻先で笑ってみせる。

 ましてや自分の目的は『それ』ではない。

 幾層かを潜り抜け最深部より少し離れたところに情報収集のための『端末』が設置されている。地球で言うと

ころのVRボックスは宇宙人サイドにも当然知られていた。多少改良が加えられているものの外観も能力もほと

んど同じだ。小学生時代からVRボックスに入り浸っていた秀吉には使い勝手のいい道具である。

(置き土産、か………)

 何だか久しぶりに『潜って』みたくなった。『言霊』という遺産を見かけたから。

 コードで埋め尽くされた椅子に腰掛け、頭にスッポリとメットを被る。目を遮光レンズで覆い、両のてのひらをコ

ンソールに伸ばして意識を集中する。機械に同調し始めると同時に皮膚に『端末』が埋め込まれる不快な感触

が襲い、こればかりは地球産のVRボックスの方が気持ちよかったなと苦笑した。

 現実世界から切り離されて意識だけが仮想現実の空間の中へ。

 <ダイヴ>した精神が見るのは個人個人で異なるらしい………それは自らの心象風景かもしれなくて。

 だとしたらいまの自分はかなり荒んでいるらしいと自ら嘲笑う。




 覚醒した意識の先に広がる一面の荒野。

 誰も居らず、草木もなく、乾いた風が砂を巻き上げるだけの大地。

 曇天。空風。一面が青と黒だけの薄暗い世界。

 自分だけが異質なものとして学生服に身を包み佇んでいる。




 嘆きもせずに歩む見慣れた風景。

 無言で歩き続けてたどり着くのはこの世界の<ガイド>だ。接続されている仮想空間は地球も宇宙も同じもの

だから、行き着く<ガイド>だって同じシロモノだ。地球では仮想空間が半ば閉ざされてしまったのでアクセスす

る人間自体が限られてしまっているが。

 最近は面白い現象が起きている………迷い込んだ一般人や多少腕の立つハッカーならば無視されるのに。




 特定の人物や特定のアクセスにだけ反応した影が仮想空間の扉を守護する。




 <彼>は深く、深く、黒とも紺とも紫ともつかないローブを羽織っている。頭から爪先までズルズルと長い衣を

引っさげて、顔の半分はローブで生じた影に閉ざされている。かろうじて窺い知れるのは整った口元と右の手に

握り締めた樫の木の杖のみ。

 そこで<彼>は問い掛ける。




『―――合言葉を述べよ』




 淡々と、秀吉の幾度目かの来訪にも懲りずに言葉を重ねる。




『―――鍵を捧げよ。さすれば扉は開かれる』




「………持ってないっつってんだけどな」

 苦笑とてのひらをズボンのポケットに突っ込む。

 最近のことだ、仮想空間にアクセスしようとしてこの人物に阻まれてしまったのは。これをプログラムした人間

も、その目的も想像できるだけに泣けてくる。まさか秀吉が裏切った挙句にこんな場所まで足を運ぶとは想定し

ていなかったのか、いや、あるいは想定していたのか。

 おそらくは後者―――でなかったならこの人物は秀吉に『鍵』なんて求めない。




「アンタの作った擬似人格はきちんと機能してるよ………そうだろう? <スペルマスター>」




 数年前の大戦に登場したそのままの衣装を着せて、口調も反応も画一的なのはさすがにそこまでプログラム

している時間がなかった為か、傲慢で神経質で自分勝手な例の教授は自らの仮想存在をVR空間の『守護』とし

て残していた。

 特定の人物に手を貸せるように―――あるいは、拒絶するために。




 『鍵』さえ掲示すれば<スペルマスター>はこの上もない協力者として手を貸すのだろう。

 『鍵』を掲示せずに突破しようとすれば途端に二重三重の攻撃プログラムが侵入者を阻むのだろう。




 今日もまた笑みを頬に刻んであっさりと秀吉は引き下がる。無理して探りたい情報がある訳ではない………で

きれば知りたい程度のことならば幾らでも溢れているけれど、『鍵』の在り処だって想像はつくけれど取りに行く

気は起こらない。




 だって、教授が何かを預ける相手なんて、『身内』に決まっているだろう?




 精神を現実へ向かって飛翔させながら先ほどとは異なる種の笑みを浮かべる。

 ―――『此処』に来れば、情報の宝庫。手に入れたい情報は間違いなく見つけられる。

 先だってのヒントを宛てに彼は此処までたどり着けただろうか。教授の置き土産とて受け取る側が気付かなけ

れば意味がない。

 そして時間は刻々と過ぎていく。




「急がないと、手遅れんなるぞ?」




 意味のある死も、黒騎士の血も。




「探り出せ。でなきゃ面白くねぇだろう………五右衛門?」

 フと笑みを鋭くする。

 まさしくその瞬間、地上にいる相手が何気なく空を見上げたとも知らぬままに。

 

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はっきりいって閑話休題。タイトルもそうしようかと思ったほどに(汗)。

今回の共通項は『置き土産』。いやー、偶には普通(?)の戦闘シーンを書いておこうと思ってたら

無意味にバカになってしまいました(苦笑)。技名に深い意味はありません。ありませんてばてば。

 

『レンジャーズ』は日曜朝9時から絶賛放映中の子供向け特撮番組。ノリと雰囲気はウ○トラマンや

仮面ラ○ダーに同じ。5人で毎週毎週、登場するゲスト怪獣と火花を散らしております。『怪獣ジラース』とか

『バレンタイン星人』とか間抜けなゲスト怪獣を考えては管理人はひとり悦に入っておりましたv(根暗)

登場キャラの名前だってきちんと考えたんですよ〜。順番にゆーと

 

赤川勇気(レッド)、桃野あい(ピンク)、青木努(ブルー)、黄海信(イエロー)、黒田希望(ブラック)

 

となります。並べれば「勇気に愛に努力に信頼に希望」v ← そのまんま

ちなみにイエロー隊員だけ韓国出身。そしてこちらのピンク隊員は料理がドヘタな設定です。ヘタな料理で

結果的に怪獣を撃退するのは最早お約束(断言)。

ブラック隊員の名前は「のぞみ」と読んであげましょう。男だけど。

無意味に好きだ『レンジャーズ』………アホらしいところが特に(笑)。

 

ラストで出てきた仮想現実空間の守護者はいわずと知れた教授です。彼は死ぬ前に(※まだ死んでません)

自らの精神プログラムのコピーを残しておいたのですな。でもってヤバそうな情報にはオートプロテクトを

かけています。作りかけだったので外見は以前の使いまわし、応答も画一的。

しかし能力だけはバカみたく優秀で、トレースも逆ハックもスペル作成まで何でもござれです☆

更に『鍵』の所有者が情報収集しようとした際には<ガイド>としてあの人物が………!

―――ってのはその内ネタバレする予定なのでお待ちください(笑)。

いや、それよりも本編に全く関係ないんじゃないか………??(汗)

 

まぁ、そもそもそんなんいつ書けるかわからんけどナ☆(おい)

 

 

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