※リクエストのお題:『地球へ』、転生後のブルーの性別ネタ。
※微妙にジョミーが素直すぎてアレかもしれません。そしてブルーはたぶん腹黒です(笑)
それは、ある日の昼休憩のことだった。 「なあなあジョミー。お前、最近やたら綺麗な子といるよなー。あれって彼女?」 友人のサムにそう問いかけられ、ジョミーは僅かに首を傾げる。 「ひょっとして、ブルーのこと?」 それなら間違いなくブルーのことである。 「ブルーは彼女じゃないよ。そもそも、ブルーは男の子だし」 真顔で頷くと牛乳パックを片手にサムが「うへあ」と声を上げた。 「良かったらサムも一度ブルーに会ってみる? あんなに男らしい性格をしたひとは他にいないよ」 会話に割って入ってきたのは、丁度、クラブの集まりから戻ってきたスウェナだった。 「意外って………何が? ブルーの性格が? あれ? スウェナはブルーに会ったことあったっけ」 女の子だとばかり思ってたわ。サムとおんなじね。 クスクスと少女が笑いを零す。 「ジョミーがすっかり打ち解けてるから最初は男の子かなって思ってたの。でも、それにしては線が細くて丸みを帯びてるし、華奢だから、ああ、女の子なんだなあって」 女の子の口から「細い」だの「丸みを帯びている」だのと言われると居心地悪く感じてしまうのは何故だろう。 例によって休日を利用してブルーの居る街まで遊びに来て、一緒にカフェテリアで軽食を取っている時に、ジョミーはふと友人達との遣り取りを思い出した。 「ねえ、ブルー」 眼鏡の隙間から澄み切った赤い瞳が覗く。 (ならば問おうか、ジョミー。君が考える男性と女性の違いとは何処にあるのかな) にこりと微笑まれ、何故だかジョミーは学校で講義でも受けているような気分になる。 (ジョミー。ジェンダーの違いとは実にデリケートで難しい問題なのだ。実際、ここまで科学が進んだ現在においては体格も声の高低も瑣末なものなのだよ。アスリートを見てみたまえ。女性でも筋骨隆々なひとはいるだろう。数多のアーティストを見たまえ。男性でも高い声を出せるひとはいるだろう) ましてやこどものことに至っては、ね。 そう告げられて、ジョミーは気軽に口にした己が身を恥じた。 (とは言え―――その辺りを意識することは大切なことだよ。男であれば強くあれ、女であれば優しくあれ、そんな偏見とも先入観ともつかぬものを押し付けられるのは業腹であれ、「一般社会」の概念を理解していなければ日常生活は侭ならない) 僕は君の行動を知って素晴らしいと感じた。 「僕は、君にどっちと思われても気にはしないよ」 唐突に肉声に切り替わったこと以上に、その発言内容に、ジョミーは目を瞬かせる。 「男だろうと女だろうと、君は強くて優しい。素直で明るいし、笑顔も可愛い。真っ直ぐなところも、元気なところも、例え何らかの原因で君が女性に生まれ変わろうとも全ての特徴が消え失せてしまうことは考えられない。そうである以上、僕が君を好ましく思う要素は性別に因らないと考えられるのだ」 不意に紅の瞳が憂いを帯び、ジョミーは慌てて身体を乗り出した。 「そんな! そんなことないよ! 僕だって、ブルーがどうなったって絶対好きだし!」 だから落ち着こうか、と窘められて、ジョミーは赤面しながら姿勢を改めた。 ごめんね、と一言告げてから、もう一度サンドウィッチに手を伸ばす。 自分がブルーを『ブルー』として大切に思っているように、ブルーもまたジョミーを『ジョミー』として認めてくれているのであれば、性別など大した問題ではない。 強くこころで思い、ジョミーはにっこりとブルーに笑いかけた。 それだけでもう、些細な疑問など頭から消え失せていた。 |
ユーノウ・アイノウ
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最終的には煙に巻かれてどちらかは明言されていないという(笑)
転生後のシリーズではブルーの性別は出来る限りどっちでも取れるようにしておきたいと思っています。
固定しちゃった方が明らかに書きやすいとは思うんですけどねー。人称代名詞とか!
こんな話ですが、少しでも楽しんでいただければ嬉しく思います。
リクエストありがとうございましたー♪