いつだってそれは胸を締め付けるほどの切なさで。









 僅かな空気の流れさえ肌に感じられるような静かな蒼い部屋の中。

 並んで白いシーツに腰掛けて。

 手を合わせる。
 ゆっくりと掲げられた彼の右手に、静けさを壊さないように、そっと自らの左手をあわせる。

 触れた先は互いに白い布で覆われている。
 薄い手袋越しの接触がこんなにも頼りないものだとは知らなかった。だが、直接に触れたなら触れたで、やはり自分は狂おしく感じるのだろう。

 血の色を透かした瞳で彼が微笑む。

「緊張、しているのかい?」

「―――違います」

 瞼を閉じた。

 彼を信じている、深く祈っている、未来を願っている。
 けれど、ほんの時折り許されるこうした僅かな接触は落ち着きよりも焦燥ばかりを膨らませていく。

 彼の素肌が身に着けた白い手袋よりも尚透き通っていることを知っている。
 触れ合わせたてのひらが自分のものよりも遥かに細く、頼りないと知っている。




(君の手は大きいね。きっと、背が高くなるよ―――僕よりも)




 囁かれた時に喜びよりも寂しさが勝ったのは何故だろう。
 彼を護るための力が欲しかったけれど彼がいなくなってから得る力に意味はあるのだろうか。

 こんな、折れそうな指で。
 こんな、儚い外見で。

 どれだけの星の海を漂ってどれだけの仲間を救ってどれだけの救えない命に苦しみながら歩いて来たのか。

 微笑む彼の表情が微かな苦笑へと切り替わる。

「どうして泣くんだい?」

「なんでも………りま、せ………っ」

 震える声も、震える肩も、震えるてのひらも情けなくてますます泣きたくなる。

 勝手な感傷だ。
 痛みに泣くべきは自分ではない、この頬を伝う涙は彼の痛みを共有したいと願う己のエゴが体現したものに過ぎない。

 それでも、彼は笑うから。

 ありがとう。僕たちの代わりに泣いてくれるのかと。

 泣き出しそうな瞳で泣かないままに穏やかに笑うから。

 重ね合わせた手に力を篭めて彼の手の細さとやわらかさを感じ彼の意志の強さと存在の儚さを感じ避けようがないその日の到来を歯を食い縛りながら待ち受けるしかないのだ。

 せめて。

 せめてあと少しとそれだけを唱えながら。

 


041.砂時計の落ちきるまで


 


(何故願っても祈っても叶わないんだろうと呟くと
願いも祈りも全てのひとに平等だからこそ叶えられることは少ないんだよと
言葉を返して彼は微笑んだ)

 

※WEB拍手再録


 

どうして私が書くとジョミーが情けなくなるのか………そして、どうして

私の作品には人名が登場しにくいのか(特にミュウ側)。

 

一先ずこのふたりはプラトニックでいいんじゃね? と思った次第。

がっつりエ○も好きですが。 ← 台無し

 

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