もう、直接に声を聞くことがなくなって随分と経つのだ。 ベッドに転がって薄暗い自室の天井を見上げながらぼんやりとそんなことを思い返す。 あのひとの眠る部屋はもっと広くて、青白い光に包まれていて、どんなに気が立っていてもあの部屋に入るだけで自然とこころが落ち着いた。 それは、彼のこころが穏やかだったからだろう。 あの、印象的な瞳を見ることが叶わなくなってからどれほどの時が流れたのだろう。 力に目覚めて以来、己の身体に訪れる成長の兆しはひどく緩やかだ。 妙に、怖くなる。 ゆっくりと両腕を掲げて、何もない宙で、強く拳を握り締める。 想いを伝えて欲しいと託された。 だから、どうすればいいのか分からない―――分からない。 幾度も、幾度も、話をしたけれど。 嗚呼―――思えばその頃から彼の瞳は閉ざされたままだったのか。 両腕を顔の前で交差させる。 夢を見るのではなく現実の言葉で支えて欲しいと願う己はどうしようもなくこどもなのだろう。 目を閉じて、きつく唇を噛み締めた。 |
095.涙にまぶたを閉じたところで
アニメ10話を見て「せめてこれぐらいは悩んでほしいよなあ」と思いながら書いたら出来上がったシロモノ。
でも11話を見たらちゃんと悩んでくれてたからちょっと申し訳なくなってきました(苦笑)。
他所様でも似たような作品がいっぱいUPされてるでしょうが、まあ、いいや。 ← オイ!
管理人が想定したところの主人公の心境に基づき、反省する場所はブルーの寝室(青の間?)ではなく
敢えて自室に設定。キャラの読み込みが足りない面は大目に見てくらはい………。