096.救世主なんてワリに合わない
「お前さあ………なに考えてンの?」 「は?」 声を掛ければ年齢のわりに幼い顔立ちをした鳶色の瞳の少年が振り向いた。つい先刻の傷も治癒呪文のおかげで回復し、外見だけなら通常と何ら変わりはない。 夜空には白い月が浮かぶ。 「だからさ、謎な行動するなってーの。何でもかんでも救おうとしてないか?」 いまや両世界の救世主になりつつある少年は首を傾げた。 誰も犠牲にならない世界を作りたい。 ―――バカだな、と思った。 皆のしあわせを願って戦ったユグドラシルがどんな裏切りを受けたか知らないのか。尽くしても尽くしても報われることのない現実を理解していないのか。この世には「救えない」人間もいるのだと、何故、気付かないのか。 「いきなり必殺技の前に割り込んできてさー。オレ様だからよかったもののー」 無邪気に少年は笑う。 「仕方ないよな! 子連れの母親は気が立ってるモンだし」 ただ、それだけの理由で。 「―――普段は容赦なく倒してるくせに」 聞こえているとは思わなかった呟きに、けれど、少年は真顔で頷いた。 「見えちゃったら、殺すなんて出来ないよ」 嗚呼―――本当に。 もし、旅の途中で彼が己の過去を知ったならば―――。 ………バカげている。 早く―――そう、早く教えてやらなければ。 ―――『救世主なんかワリに合わない』って。 |
※WEB拍手再録
今更ながらに『Tales Of Symphonia』。合言葉は「キミと響き合うRPG」(だったっけ?)
ゼロス視点でロイドくんについて。プレイしたのがかなり前なので口調とか設定とかかなりヤバ目(汗)。
あ………あまり深く考えないでくださいね??(ドキドキ)
ヒロインさしおいて好感度一位のキャラを創れる辺りすごいゲームだと思いました。だって、
場合によっちゃ男性キャラともデートOKなんすよ?(笑)
そうでなくてもこの主人公は皆に溺愛されすぎなんすけどね………特に父。 ← 禁句?