「戦え! ボクらのコロクンガー!!」

63.trespasser!(2)

 


「戦うつもりはあるか?」と訊かれたから「ある」と答えた。

「ついてこれる自信はあるか?」と訊かれたから「ある」と答えた。

 結果的に過去も名前も失うことになったけれど、だって、それは仕方のないことだろう?

 相方は全てを捨て去れる立場にはなかったのだから。

 

「ガキの未来を奪いたかぁないんだがな……」

 

 遠慮がちな言葉は笑い飛ばしてやった。

 

 ――それが、10年前の出来事。

 

 

 遠くから爆発音が聞こえてくる。嗚呼やっぱり特攻を始めちまったか、と舌打ち。信長の性格を考えれば、あん

な足止め策、長くは通じないだろうと思っていた。

 意味ないだろうなと思いつつ仕掛けてしまったのは、やはりそういう事なのだろうか。「できれば来てほしくな

い」という無意識の表れ?

(全く……俺も変わったもんだよ)

 目の前の人物との関係を問い質されれば、己の過去を知られる可能性も高くなる。自分の過去は‘悲劇’の内

に入るらしいことも17年間の人生の中で理解した。

 同情されるのはご免だ。気を使われるのも願い下げだ。嘆かれるのもお断りだ。

(ほんと、やんなっちまうな)

 仲間と対等に付き合っていたいがために、色々と嘘をついたり軽口で誤魔化したりもして。

 

 随分弱くなったものだ――自分も。

 結構健気じゃないか――まだまだ。

 

 浮かべた笑みは随分皮肉っぽく見えた。

 

 

「行くぞ! せぇ―――のぉっ!!」

 掛け声と共にソファが廊下を滑り、爆発音が連続して後に続いた。舞い上がった煙に皆でむせ返りながらも作

戦の成功に手を打ち合わせる。

「よしっ、よくやった!」

 偉そうに信長がふんぞり返るが別に大した作戦ではない。爆弾が仕掛けられている廊下にソファや机を滑らせ

て爆発させているだけだ。無論、先程の日吉の犠牲を踏まえての策であることは言うまでもない。またしても日

吉がイケニエになるところだったが、隊長の無謀は仲間の非難の目線とおにーちゃんの無言の圧力によって回

避された。「好きな子イジメちゃうにも程がありますよ」という処であろう。

 ソファを蹴飛ばしつつ進む事数分、分かれ道でピタリとその足は止まった。

「どっちに行きます?」

「スッパの奴ぁ、司令室に向かうっつってたよな――今はそれを信用するしかねぇな」

 日吉の横で信長が指示を下した。

 現在、ブルー隊員に関してはあまりあまりよろしくない疑念が抱かれているだけに胸中は複雑である。

 爆弾を仕掛けていたのが五右衛門で壁を歩いたりしたのも全て演技だとするなら、確かに解決できる問題は

多くある。例えば写真の入手経路だとか(一応、「ベストショットを撮るため♪」との科白はなかったことにされて

いる)、罠の仕掛け方だとかバリアーのことだとか。

 そもそも防衛隊の面子でそんな内部事情に詳しいのは彼ぐらいなのだ。隊長たる信長でさえ、武器開発の詳

細については知らされていない。あくまでも彼は「外部」から選出された隊の代表に過ぎず、もとより「内部」に属

していて、司令とも個人的繋がりを所有している五右衛門とは立場が異なっているのだ。

 名目上、信長の方が五右衛門より上役だという事になってはいるのだが――実質的な立場は同等、キャリア

を加えれば五右衛門の方が上である。

(ややこしくってならねぇ)

 信長が内心でボヤく。

 全ての情報を把握しているのが司令と五右衛門、更に数名の幹部だけなのだから腹の立つ話だ。

 ――けれど、あの内跳ね男がこんなことをせねばならない理由なんて全く思い浮かばない。

 一番疑わしい人物が一番怪しくない。そんな信長の苛立ちは、他のメンバーも感じていることだろう。その中で

も秀吉は更に別のことを考えていた。

(……チャンスかもしれねぇな)

 と、思うのだ。

 あのスチャラカ忍者は10年前に何があったかしらないが、司令とコソコソ悪巧みばかりしている。防衛隊に関

することで知識量に差があるのは、何となくズルイ。

 知っていることは五右衛門にとって当然の権利なのかもしれないが――ズルイものはズルイ。ここらでひとつ

滅多に見せない尻尾を捕まえて、弱みのひとつも引きずり出してやりたいものだと思ってしまう。

 それぐらい、いいではないか。アイツはこちらの弱みの殆どを把握しているのだから。

「どっせぃ!!」

 

 ――ズガシャッ!!

 

 エレベーターホールに突っ込む寸前でソファが大破した。いくら微々たる(?)爆発とはいえ、さすがに無理が

祟ったのだろう。後で弁償しなきゃいけないのかなー、と聊か緊張感に欠ける思考が日吉の脳裏を掠めた。

 ソファの残骸越しにホールを覗き込む。

 果たして其処には、求めた人物がくない片手に座り込んでいた。

「五右衛門!!」

「あ〜あ……やっぱし来ちまったか」

 苦笑混じりに答える声は普段と何ら変わりはない。ただ幾分視線が鋭いような……気が、する。

「ねぇ五右衛門、あなたまさか―――」

「動くな」

 ヒナタの言葉を冷たく遮った。

 握り締めたくないもそのままに立ち上がり、6人に向かって歩を詰める。ホールとの境にはソファの残骸が積み

あがり、全員廊下でぎゅうづめになっている状態だ。退く事も進む事も出来ない。

「そっから動くなよ……一歩でも動けば爆発する。さっきの見てただろ?」

「へっ、ここに来るまでの爆弾はハッタリだったじゃねぇか。信用すると思ってんのか!?」

「だからだろ」

 信長が怒鳴った、が五右衛門は平然としている。武器を構えたまま構えは解いていない。

「最初がホンモノ、それ以降がハッタリ。そう信じてやってきたら最後の最後でまたホンモノ。大抵はこれで引っ

かかるんだよなぁ……心理的トラップってヤツ?」

 す、とその目が細められた。

 底冷えするような殺気が周囲を侵食し―――。

「そこだっ!!」

 

 ガッ!!

 

 くないが壁に突き刺さり、飛び散った破片にヒナタが軽い悲鳴を上げた。同時に其処から黒い影が飛び退る。

それは消え去ることなく、ホールの真ん中に降り立った。

 ゆっくりと立ち上がった姿は、どうみても成人男性のモノで。この蒸し暑い時期に黒装束を着込み顔まで布で

覆っている。誰かに似ていると感じ、日吉はすぐその理由に思い至った。男が着ているものは所謂「忍装束」だ

ったのだ。

「あんたの相手は俺だっつってんだろ? ったく、しろーと相手に殺気立ってんじゃねぇよ、みっともねぇ」

 五右衛門が新たなくないを懐から取り出し男と対峙する。

 確認するように日吉は秀吉を盗み見た。次いで信長を見れば、同じように頷き返してくる。多分、犬千代やヒカ

ゲやヒナタも、もう分かっている。

「紛らわしいんだよ――あんのスッパは」

 あくまで神経は前方の2人に注ぎながらも、信長の口調にも何処か安心したような雰囲気が感じ取れた。

 日吉も安堵のため息をつく。

 

(やっぱり……裏切ったりなんか、してなかったんだ―――)

 

 こうだ、と説明されたワケではないが。

 何となく今の一幕で全て納得がいった気がした。まだ、あの黒装束は何者なんだという問題は残っているけれ

ど。五右衛門が臨戦体勢でいることも気になる。軽口はいつも通りだが、宇宙人と相対している時と同等――あ

るいはそれ以上に鋭い視線をしている。

 男が腰に控えた日本刀を抜いた。輝きから判断しておそらく、オリハルコン製だ。

 五右衛門が放ったくないは軽く弾き飛ばされた。残像のみを見せて肉薄した男が繰り出した一閃を両手に構

えたくないで防ぐ。

 威力で言えばどうしたってこちらが劣る。そして、五右衛門は日本刀を装備しないことが常だった。

 数度切り結び、離れ、すぐに切り込む。互いの武器が奏でる甲高い音色がホールに響き渡った。五右衛門が

足払いをかけた時、男が消えた。一瞬、対象を見失い――

 

「! スッパ、上だ!!」

「なっ!?」

 

 壁からぶら下がった男が振り返りざまに五右衛門を蹴り飛ばした。運良くソファに突っ込み、すぐに起き上がっ

たものの、こちら側の旗色が悪いことは明らかだった。

「いま、あの男がやったのって壁歩きなんじゃあ……!?」

 犬千代が上ずった声を出した。2人の間で交わされる視線が鋭すぎて身動きが取れない。

「ごっ、ごえ……」

 思わず一歩踏み出そうとした日吉の動きを片手で秀吉が遮った。

「……忘れんなよ。こっから一歩でも動いたら爆発するんだからな」

 そういう間も視線は正面から逸らさない。先程からある思惑を持って、彼は五右衛門の動きに注視していた。

(さっきのでひとつ――今のでふたつ……あんにゃろう――)

 またしても跳ね飛ばされたくないが観葉植物に突き刺さった。深く食い込んだそれは簡単に抜けるとは思えな

い。何より、相手が取りに戻る隙を与えてくれないだろう。

 五右衛門の動きがいつもよりも鈍い。どうやらあの「壁歩き」とかいう技はかなりの集中力と精神力を要するよ

うだ。気を操って云々の話が本当なら、それだけでかなり疲労している計算になる。

 全てを見越した上で爆弾を仕掛けたのだとしたら、あの敵は

 

(――かなりの根性悪だな)

 

 同時に、不思議に思うこともある。途中のハッタリと判明している分については、壁歩きをしてまで避ける必要

はなかったのではないだろうか。……そんなにも自分たちを近づけたくなかったのだろうか。あのお調子者なら

テキトーな策を弄して自分たちを煙に巻くことも出来ただろうに――。

 

 体力の消耗を見越した上で尚、あの技を使用したのだとしたら――それは、何故?

 

「このっ……!」

 床を蹴って間を詰めた五右衛門に男が何かを投げつけた。間一髪で横に転がり避ける。掠めたらしい掌を振っ

て苦々しげに呟いた。

「……マキビシなんか使うなよなー……っとに、ムカツク」

 マキビシというと、忍者が足止めに使うというアレだろうか。イガイガが一杯ついていて足の裏に刺さるとかな

り痛いヤツである。

 近くのテーブルをひっくり返し、床にスライディングさせた。マキビシを弾き飛ばしながら机が男めがけて突っ込

んでいく。飛び上がり回避した男の腹に五右衛門の飛び蹴りが決まった。

「やった!?」

「いや……きいてねぇ」

 またしても身を乗り出してしまった日吉の頭を今度は信長が押さえつける。

 見事な弧を描いて着地したが、何故か五右衛門の方が足を押さえて痛がっている。おもむろに男が振り返り、

胸元からゴソゴソと何やら黒いものを取り出した。床に落ちたそれがひしゃげた音をたてる。

 

 ……鉄板だ。

 

「お前は漫画の登場人物かっ!?」

 五右衛門のツッコミもむべなるかな。余談だが、この技を使っている人は映画の中にもいたりする。

 ――それより、現時点で問題とすべきなのは。

「あの男、鉄板身に付けてあの速さだったってことになるわね……」

「冷静に言わないでくれよヒカゲ〜っ!」

 日吉が嘆くが事実である。そしてそれを外したということは――更に素早くなる、ということだ。

 だが、素直に倒されるような五右衛門でもなかった。突きつけられた刃を紙一重でかわし、相手の腕を絡めと

る。

 

「うりゃっ!!」

「―――!」

 

 男の身体が宙に舞い、床に叩きつけられた。間髪入れず立ち上がりすぐさま間合いの外に出る。純粋に判断

して体術は若干、五右衛門に分があるようだ。

「悪いけど、俺もやられてばっかいるワケにゃいかねーんだわ」

 見覚えのある不敵な笑みが頬に刻まれる。

「ギャラリーもいることだしなっ♪」

「…………」

 男が無言で刀を構えなおす。黒い影が五右衛門に迫ったと同時に甲高い音がして何かが弾き飛ばされた。

 鈍い銀色の線を描いてくないが天井に突き刺さる。

「―――まずい」

 秀吉が顔をしかめた。

「何がまずいってんだ、サル2号」

「あいつの持ってたくない、あれで終わりですよ」

「ああ?」

「さっきから数えてたんですけどね――ここに来る途中で足場にしたらしきモノが3本、奴に弾き飛ばされたのが

7本。……打ち止めです」

 口調は冷静そのものだが、表情がそれを裏切っている。平静を装っている瞳の中には僅かだが焦りの色が見

て取れた。

 信長は前髪を軽くかきあげると、刀を手に残骸に足をかけた。

「……しゃーねぇ、行くか」

「殿!?」

「うっせぇ、隊長が特攻かけるのが戦隊モノのセオリーだっ」

 確かにそんなことを言っていた気がする――秀吉が。飛び出そうとした信長を遮るように日吉が道を塞ぎ、更

に2人の前に秀吉が立ち塞がった。

 軽く後ろを振り返って笑う。

「セオリーでは隊員が特攻かけるもんなんでしょ? 間違えないでくださいよ」

「んだとぉ!? てめぇな、この俺が折角……!」

「それに途中で手出しなんかしたらアイツ、絶対に怒りますよ。やめておきましょう」

「やめてどーすんだ? 武器がもうねぇってのはマジなんだろ」

「いえ、あります。タイミングの問題ですけど……アイツ、ちゃんとそれを計算に入れてやがる。――あの根性悪

が」

 最後の一言は口中で呟かれ外に洩れることはなく。

 仏頂面をしたまま秀吉は残骸の上に陣取った。

 状況が不利なのは確かだ。くないは全部使ってしまったし慣れない技を駆使した所為で体力の消耗は激しい

し、受身はとったが蹴られた箇所がちょっとは痛い。

 

『お前は基礎体力が足りないと言っているだろう―――』

 

(うっわ〜……やーなセリフ思い出しちゃった)

 男の攻撃を紙一重でかわしながら微かな笑みを口元にのぼらせる。

 どんな状況でも笑っていなければならない。内心を悟られる事は即刻、死を意味すると心得よ。笑いながら対

処していると相手が怯えるのもままある事だ――……。

 ハッタリこそ敵に勝つための最高の作戦。

 教えられたことはかなりの部分で五右衛門の性格に適合した。人生なめくさったような演技は大得意である。

 距離を取り、互いに相手の出方を窺う。

 

 ―――チャンスは一度きりだ。しかもしくじれば後はない。

 

 それでも失敗するはずがないと確信しているのだ……奇妙なことに。

 

 抜き放たれた日本刀が蛍光灯の下で鈍い光を放っている。よくできたニセモノなんかではないし、多少つけら

れた切り傷からも分かるように切れ味は保証済み。手加減してくれるような相手でもない。

 ゆっくり、助走を始める。一歩、二歩と確実に近付き、同様に相手もスピードを増して接近してきているのが分

かる。このままいけば交差した瞬間に自分は切り捨てられているだろう。

 ホールの端と端から互いの影が迫る。

 見事、この場で華と散れと言うかのように男が刀を振りかぶった瞬間。

 

「―――五右衛門!!」

 

 辺りを切り裂いた声に一刹那、相手の呼吸が乱れる。

 声と共に飛来した刀を受け止め、動きにそって自然と鞘と刀身が離れる。藤色の下げ緒がついた鞘が地に転

がるか転がらないかの間。

 

「―――っっ!!」

 

 キィ………ン!!

 

 叩き落とされた刃が乾いた音を立てて床の上を数度回転した。

 借りた刀を床に突き刺し座り込んだまま、背中を向けた対戦相手に見えない笑みを浮かべた。

「……相打ち、って判断してもいいと思う?」

「ぬかせ、ガキが」

 男が初めて声を発する。意外と渋くていい声だ。

「貴様なんぞまだまだワシには及ばん……」

 弾き飛ばされた刀を男が拾い上げる。黒装束の面が破れ、素顔が覆面の下から覗いていた。人を小馬鹿にし

たような目つきや不敵な笑みは、見知った誰かを彷彿とさせる。

 その時、パン! と少し離れた場所から手を叩く音がした。

 日吉たちがいるのとは反対側の廊下から司令が姿を現す。

 

「――もういいだろう。そこまでにしてもらおうか、2人とも」

 

 あきれ返るでもなく咎めるでもない、淡々とした声に背にして五右衛門はゆっくりと立ち上がった。

 

 ―――真打登場……ってヤツ?

 

 

「全く、いい加減にしてほしいものだな」

 ズンズンとホールに踏み入った司令は見事に煤だらけになっていた。おそらく、自発的にハッタリ爆弾の中を

突っ切ってきたのだろう。

 さすが司令、豪快です。

「毎回毎回うちの防衛システムを試してアンタは楽しいかもしれんが、その度に復旧に手間がかかる。せめて予

告をしてから来てくれ」

「それでは意味がありませんや。このバリヤーにしろ爆弾にしろ……盗み出すのはえらく簡単でしたよ。もう少し

対策を練るべきですな」

 男がニヤリと人の悪そうな笑みを浮かべ、懐から何やら丸い物体と液体の入った小瓶を取り出した。丸い物体

のスイッチが押されると、何かが身体をすり抜けるような感覚と共に周囲を覆っていた重苦しい空気が解けた。

 小瓶を五右衛門に投げ寄越す。

「バリアーは解いたぞ。セキュリティに関する責任の一端はお前にもあると思え、五右衛門。最後の攻撃にして

も刀が来なかったらどうなっていたと思う」

「そりゃー勿論、あんたに斬り捨てられてたんだろーよ。そんぐらい分かってらぁ」

 司令との会話に戻った男を置いて五右衛門は廊下に取り残された面々に駆けつけた。おそらく、今一番混乱

しているのは彼らに違いない。

 床に小瓶の中身を振りまく。

「……何、それ?」

「解除薬品。これで爆弾の効果がなくなるからよ、ちょい待ってな」

 瓶を胸ポケットに収めてから五右衛門は刀を差し出した。きちんと鞘もはめてある。

「あーとワンテンポ遅れてたら危なかったかもねー。一生モノの傷んなってたら少しは謝ってくれるぅー?」

「しねーよ、アホ」

 刀を受け取り、藤色の下げ緒を腰に絡めながら秀吉は不機嫌そうに答えた。

「後先考えずにポンポンくない使いやがって。お前の手助けなんか二度としねーぜってぇしねー金輪際しねー」

「俺も期待してねぇから大丈夫♪」

 ニヘニヘと笑っている五右衛門の胸倉を不意に信長が掴み上げた。

 かなり不機嫌そうに見えるのは絶対に間違いではない、いや、確実に不機嫌……どころか爆発寸前だ。

「てめぇ……そんなんより先に説明すべきことがあんじゃねぇのか……?」

 口調は静かなだけに恐ろしい。最も、五右衛門は全く意に介していないようだが。

「ん〜? あのオッサンの正体?」

 それは当たっているようでちょっとズレた回答。軽く指差した先には、黒装束の男。

 ちょいちょい、と手招かれ全員が揃ってホールに足を踏み出す。薬が効いて爆弾の威力が解除されたようだ。

胸倉掴んだままだった信長の手を軽く払って。

「名前は服部半蔵保長。昔から続く忍者の末裔で、今でも実力者達にはかなりの影響力があるらしーぜ? い

ちおー防衛隊の協力者で軍事顧問みたいな事もやってる。調査の際の警護を請け負ったりな。システムの抜き

打ちチェックが趣味みたいでよー、時たま喧嘩ふっかけてくんだ。その度俺が戦わなきゃなんねーし、ホントやっ

てらんねぇよな〜」

 五右衛門はやれやれ、とため息をつき。

「それから―――後はまぁ一応………」

 珍しく迷うような色を見せた。

 指で軽く頬をかいて少しばかりイヤそうに眉をひそめる。

 

「俺の忍術の師匠―――ってとこ?」

 

「…………」

 しばし沈黙。

 

 ―――のち。

 

「「なにぃぃぃ―――――っっっ!!?」」

 

 凄まじい絶叫が基地内部に木魂した。

 

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と、ゆーわけで「マスター」=「支配者」でも「ご主人様」でもなく、「マスター」=「師匠」でしたv

え? 「ズルイ」? 「詐欺だ」? 「期待させやがって」? ……ええやん、「マスター」=「支配人」とかゆーよりは―――。

「バイト先のマスターでぇ〜す♪」とか語られた日にゃあ立ち直れまいよ?(笑)

 

冒頭の会話はゴエと司令(小六)のモノです。その内この2人の出会いも書くつもり☆ でもずっと先v(笑)

 

『コロクンガー』に服部半蔵が登場するとは管理人もビックリ。けどゴエの忍術習得過程を考えると

どーしても……。だって、戦国時代とは違うんだからさ……素のままじゃあ習得の機会なんてないやんけ。

原作でもゴエに危険視されたりゴエをぶっ叩いたり結果的に殿や日吉との再会を邪魔してくれたりと、

まー、色々とゴエに関する不幸はこの人が運んできてくれてたので、めでたく登場決定(笑)。

この話の中では師弟関係とゆーことで、ちったぁ仲がいいですけどね。

 

……でも真剣使って斬りあってたよな……手加減なしで。本当に師弟なんだろうか……。 ← 禁句?

 

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