「戦え! ボクらのコロクンガー!!」

83.discharge

 


 常ならばこれほどまでに殺伐とはしない議場がひどい緊張に包まれている。それは小国のとある代表を

中心とした先進国と途上国の鍔迫り合いであり、各国中枢の思惑の只中であり、何も知らぬ一般人の興味

の対象であった。渦中の人物を議場の真ん中に立たせて責め立てる様はまるで裁判。警察役がやたら権

力を誇示する先進七カ国とするならば弁護役は具体的な手立てを持たぬ途上国か。被告には自国の政府

すら味方はしない。

「しかるに! 彼は! 国の、いいや、世界の宝たる戦力を有しながら………!」

「異議あり!」

 闊達に議論の交わされる俄か裁判所で被告だけが大らかに構えていた。

(まったく、面倒なモンだな。政治ってのは)

 議場の中心で腕組みをしたまま感想をもらす。

 上り詰めるには長くても降りるのは一瞬で済む。そのくせして降りるタイミングを逸すればまたぞろややこ

しい手続きが必要となる。10年前の宇宙人襲来事件よりこっち、どうにかこの立場まで出世した小六ではあ

るが、身分に未練はなかった。ほしかったのは指示を下せる立場と協力者、次なる脅威に備えての戦力の

増強である。司令部において優秀で忠実な部下たちも見つけることができたいま、防衛隊司令官の任を解

かれようともさほど苦痛ではなかった。

 無論、権力を失うことによる弊害も理解している。しかしそれは協力者たちの助力と部下の手助けで乗り

切ることができる。

 むしろ論議に無駄な時間を割いているようで気が急いてならなかった。冬の到来にあわせて必ずや連中

は何かを仕掛けてくる。備えは幾らあっても足りない―――と、予感しているからこそ普段は影に付き従う

五右衛門も他の任務についている。己自身もこんなところで突っ立っている場合ではないと思うのだ。弁護

してくれる者たちには悪いが、こんな会議はとっとと切り上げてしかるべきだと考えている。

 どの道『奴ら』は『蜂須賀小六』の政治生命を抹殺するつもりだ。ならばいっそこちらから突撃して玉砕し

てやってもよい。

(しかし―――困ったものだな。攻撃をしかけたかったのがこれでは実行に移せん)

 闇雲に攻撃するつもりはない。見通しもなしに突撃するのは愚かなことだ。だからこそ議場で各国の了承

を得て、綿密な計画を練った上で一斉攻撃をしかけたかった。攻撃するタイミングがズレてはいけない。一

時に攻め立てるからこそ意味のある行動なのだ―――が。

 まるでそれを読んでいたかのように先進各国の首脳は乗っ取られてしまった。小六は彼らが洗脳されて

いるだろうことを疑っていない。夏に防衛隊施設にしかけられたハッキングや各国首脳が『神隠し』にあって

いるという事実、帰国途中で刃を突きつけられたという現状が裏づけとなっていた。

(―――だが)

 何かおかしい。疑問を感じる。

 この時期に地球人側を乗っ取ることが不思議なほどに理解できないのだ。勿論、リーダー格を操ってしま

えば戦いは楽になるだろう。さしたる苦労もなく勝利を手にできるだろう。

 しかし………しかし、だ。

 行動があまりにも遅い。もうここまで乗っ取りに成功しているならば一気に攻勢をかけてきても良さそうな

ものではないか。なのにのらりくらりと刃先を逸らすばかりで、こんな日本の島国の司令官を追い落とすこと

に躍起になっている。連中は成層圏に確たる支配権を有し、攻撃範囲は数千キロメートルにも及ぶ。ユーラ

シア大陸、北米大陸、アフリカ大陸等すべての大陸上で張り巡らせた包囲網を活用し、爆弾の一発も落と

せばそれで完了だ。

 これまで奴らが総括された大々的攻撃をしかけてこなかったのは連携上のミスか単なる気まぐれかは判

断しづらいが、少なくとも己が敵司令官の立場であればこの機に一気に攻め落とそうとするだろう。奴らの

足並みが乱れているが故の空虚な時間であるとすれば、つけ込むチャンスがある。

(もし、単なる鍔迫り合いが原因の遅延でないとするならば)

 事態は深刻さを帯びてくる。

 つまり奴らは―――『何か』を待っているのだ。

 『何か』が完成するまでの時間、『何か』が作動するまでの時間、『何か』を扱えるようになるまでの時間。

 コトによっては本当に一瞬で人類は絶滅してしまうかもしれない。

 小六は己の身上とはまったく関係ないことで心配そうに眉根を寄せた。

 議場は未だに騒がしいがそろそろ結論が出そうな雰囲気ではある。そっと壁の時計に目をやれば会議を

始めてから既に4時間ほどが経過していた。いい加減、立ちっぱなしだった足も棒になる頃合である。

 己を糾弾するあいつもこいつも額を出せば第三の目が輝いているのだと思えば、やはり、多少は腹が立

たぬでもない。世界同時中継もされていることだし、ここで奴らの正体を明かしてやればどれだけ胸のすく

ことかと夢想せぬ訳でもない。その後に続く混乱を嫌うから決して行動に移そうとはしないけれど。




「―――判決をくだす」




 口調からしてやはりこれは会議ではなく裁判であったらしい。先進国より任命されていた議長が重々しく

腰を上げて辺りを睥睨し、ピタリと小六に目を据える。




「蜂須賀小六―――貴公を地球連邦、対外宇宙知的生命体防衛機構、日本支部特設対策本部、総司令

官の任より解くこととする。異議はあるか?」




 予定調和といえどもやはり動揺が会場内に広がる。地球連邦が創設されて以来、防衛隊司令官が解任さ

れるのは初めてのことだ。しかも、傍目には何の失策も犯していない者が………で、ある。それが証拠に世

論は小六に同情的なのだ。そうと知りつつこの結論を持ってきた辺りに何者かの強固な意志を感じないで

もない。

 小六は組んでいた腕を下ろすと礼儀正しく敬礼した。




「異議なし」




 きっぱりとした小六の言葉にまたしても議場がざわめいた。いま少しの粘りや根性や意地を見せてもよさ

そうなものを、とは応援していた者たちの嘆きだろうか。

「肝心なのは大衆の思いであり人類の存亡だ」

 小六は続けた。

「身の潔白は何よりも己自身と人民が理解している。たとえ切り捨てられようとも痛痒には感じん」

 横柄とも傲慢とも取れる言葉はざわめく場内でも一際大きく響いた。

 一瞬の間をおいて罵声と非難の声が上がる。同時に、共感の言葉と弁護する言葉が続く。渦中の人物は

蛙の面に水といった感じで平然と佇んでいる。ただ、会場内の怒号とざわめきと嘆きを一身に受けながら。




 ―――例のないほどに騒がしかった国際会議はこうして幕を降ろした。








 薄暗い廊下に足音が響く。

 護衛もなく、ひとり飛行場へと向かう小六の前に小柄な影がふたつ立ち塞がった。背の高い方の影が静

かに尋ねる。

「………終わりましたか」

「いや」

 軽く首を振って。




「これからが始まりだ」




 後ろを振り返ることなく歩き出す。その後ろには特派員のふたり―――加江と竹千代が続いた。遅れない

ように小走りでついてくる相手に小六が苦笑をもらす。

「わざわざ付いてくる必要はないぞ。任を解かれた以上、お前らの上司は俺ではないからな」

「まだ後任が決まった訳ではありませんから。ましてや防衛隊はあなたが一から築き上げたもの………政

府公認の腑抜けた役人が来るぐらいならわたしだって辞職願いを出します」

「そやそや、あんまり気弱になったらアカンでー♪」

 ハタハタとお気に入りの扇を振りながら竹千代が小六の肩によじのぼる。コンパスの違う彼はこうした方

が走る必要がなくて楽だと踏んだらしい。

 詳しい話は後で、と伝えた小六の眼光が急に鋭いものに変わる。直前に迫った通路の曲がり角、もう間も

なくヘリポートにつくという段階で彼は足を止めた。

「………日本に帰るまでは大人しくしておきたい」

「わかりました」

 チラリ、と視線を流した加江は司令の背中にへばりついている竹千代をベリッと引き剥がすと後ろに下が

らせた。構えた銃はあくまでも護身用である。

 小六が息を詰め。

 ―――直後。




 ダンッ!!




「ぐあっ!!」

 踏み込みの音と共に鈍い悲鳴が聞こえた。角から黒いものが飛び出してきた瞬間、小六の強烈な手刀が

敵を襲ったのである。まさか反撃されるとは思ってもみなかっただろう相手は苦痛の色を残して床に倒れこ

み、あえなく失神した。

 こう見えても武術の達人である小六は倒した敵の顔を覗き込んで軽く検分した。

「うーむ………見覚えはないが、まぁ、顔からしてヨーロッパ系だな」

「通路は確保しておいたはずなのに」

 加江が悔しそうに表情を歪ませる。司令を迎えに行く時は安全だったこの道も、僅か数分で危険な帰り道

と化してしまった。この分だとポートに控えさせておいたヘリも危ぶまれる。パイロットを必要としないオート

設定で動くそれは、ひとたびプロテクトを破られれば制御不能の危険な乗り物となってしまう。一応、出入り

口やシステムにセキュリティはかけてあるものの各国のエージェントが力を尽くせば解除されてしまうかもし

れない。

 軽く行き先を見渡して敵が潜んでいないことを探る。先頭に立って小六が導くのに黙ってふたりは従った。

本来なら先に行くのは部下の役目なのだが、どうにも今日の小六はこの任を譲るつもりはなさそうだ。

 急ぎ足で飛行場へと駆けつける。扉を開けたところで司令の足が止まった。後ろから覗き込んだ加江も思

わず舌打ちし、竹千代に至っては情けない声を上げた。




 ヘリを囲むようにして黒服の男たちが陣取り、銃口をこちらへ向けていたからである。




(まさかこんな所にまで………!!)

 加江が歯噛みする。

 彼女らの確認が足りなかったと責めるのは酷なことだろう。ここは地球でありながらも敵陣のように味方

が少なく、内通者だけは余るほどいる。加江たちが司令を迎えに行った僅かな隙に警備員たちを呼び込む

ことぐらい、システム管理者にとっては造作もない。

 唯一の救いはヘリが壊されていないことか。あれが壊されたら逃げ出す機会がグンと減ってしまう。さす

がにこの短時間ではセキュリティを解除するには至らなかったらしい。『ヘリ』と呼んでいるが外見はジェット

機に近く、こっそり特派員たちがマシンガンまで装備させたそれは手の内にあれば強力な武器となる。乗り

物に武器を装備させることを小六は好まなかったが、離陸したところを撃墜されるという危険性を少しでもな

くしておきたかったのだ。天から銃で威嚇すれば多少の役には立つだろう。

 わざと揃えた黒服は正体をわかりづらくするためのものなのかもしれない。共通言語のエスペラント語で

話せば出身国もバレにくい。

 真ん中の男が大上段に銃を構える。それに小六は笑った。

「―――大げさな出迎えだな。たかが3人相手に。オマケに何の権力もないときた」

「だからこそ、ですよ」

 意外と丁寧な口調で男は返した。

「いまならあなたに何が起きても事件として扱われることはない。事故として処理してさしあげますよ―――

そう、ヘリの整備がなっていなかったために大破した、とでもね」

 権力さえあればその程度の捏造は楽に行える。公衆の面前で裁かれることはなく、ひと時騒がれたとして

も人々が記憶の彼方に事件を埋没させることはあまりにも容易い。

 しかしだからこそ小六は思う。

『たかが島国の司令官ひとりに何を固執しているのか』―――と。

 警備が硬くて洗脳できなかったことが原因か、わざと洗脳せずにおいといて事故死させる必要があったの

か、あるいはこの時期まで生かしておく何らかの理由があったのか。

 自分が日本担当の宇宙人司令官であれば小六なんぞとっとと暗殺するに限る。洗脳して操るのは次善の

策だ。

 ―――が。

 世界を眺めやれば宇宙人連中は傀儡政権を作ることを良しとした雰囲気が漂う。その中で見ようによって

は敵陣の中でさえ孤立している日本………。




 極東の島国の担当指揮官だけが他とは違う観点から行動している。




 何か思いつきそうだったが考えに没頭するには目の前の銃が危険すぎた。男たちはまるでロボットのよう

に正確な動きでこちらの心臓へと狙いを定める。

 呟きが聞こえた。

「いまならば―――あなたはただの一般人だ」

「確かにな」

 頷いてやる。

「逃げることもできずに死ぬといい。それとも………万に一つの可能性にかけてここから飛び降りてみます

か? 地上数百メートルのここからね!」

 相手の声に嘲笑の色が篭もる。決して逃れられない獲物を捕らえた『人間』が浮かべる下卑た笑いだ。こ

んな奴にやられてやる気は毛頭ないが進退窮まっているのもまた事実である。

 咄嗟に後ろに下がろうと力を込めたところで、異質な音が鼓膜を叩いた。




 ゴゥ………ン………!!




 律儀に黒服たちの動きが止まる。何かが稼動し始めたようなモーター音、どこからか吹きつける生ぬるい

熱風、ギリギリと歯軋りするような音を出しながら動く機体。

 チラリと小六が真横の部下に視線を落とした。

「タイマー設定でもしてたのか?」

「してませんよっ」

「えらいタイミングのええこっちゃ………!!」

 最後の竹千代の言葉がすべてを代弁していたかもしれない。

 男たちに囲まれて手を出すに出せなかったヘリが、機体が、グォングォンと低い唸りのエンジン音を高ら

かに鳴り響かせていた。ジェット部分から噴出す熱風に煽られた数名が慌てて飛びのき、綺麗な円を描い

ていた敵陣はバラバラと崩れ始める。それでもどうにか体制を立て直そうとしていた動きはヘリが機首をも

たげ始めるに従って無残にも砕け散る。

 地響きを立ててヘリは重い機体を浮かび上がらせた。そこら中の埃を舞い上げながら機体先端部に丸い

穴が開く。

『―――言われるままにしておくんじゃねぇよ』

 スピーカーから響いたのは思いっきり不貞腐れている少年の声。

『いっそのこと調子にのって飛び降りりゃいいんじゃねぇ? そしたらあまりの馬鹿さ加減にミナサン見逃し

てくれるっしょ』

「………その場合の命の保証はお前がしてくれるんだろうな」

 聞き慣れた声に状況を悟り、小六は苦くない笑みを頬に刻んだ。

 機体先端に生じた穴からのっそりと黒いマシンガンが顔を覗かせた。




 ドパパパパパ………!!




 弾丸がコンクリの床に穴を開ける。

「ほ、本気で撃ってきやがった………!!」

 お前らだって撃つ気だったろうが、と怯えて逃げ惑う黒服どもに言ってやりたい。

 威嚇射撃で黒服どもを壁際まで追い詰めて、ヘリは昇降口から縄梯子を投げかける。風に煽られて安定

の悪いそれに急ぎ小六は手をかけた。加江と竹千代にもしっかと握らせて準備は出来たとばかりに呼びか

ける。

「行け!!」

『了解!!』

 誰も上りきらない内からヘリは上昇を開始する。落ちる、落ちるがな! と喚く最年少者の首ねっこを引っ

つかむと機内に叩き込んだ。加江が落ちないよう支えながら足元に視線を流せば黒服連中が悔しそうにこ

ちらを睨みつけているのが見て取れた。奴らも無駄と知りつつ発砲してくるが、激しい上昇気流に飲まれて

的も定まらず、何もない空中を虚しく掠め飛んでゆく。あまりにも当たらなくて呆れたヘリの操縦者が「ヘタク

ソ!」の声と共にスレスレのところに着弾させる。

 こと、ここに至って連中は転々バラバラに逃げ出した。

 ホバリングしながら3人を無事、回収したヘリはからかうように上空をゆっくりと旋回すると、さっさと攻撃

の及ばぬ地域へと飛び出した。罵る声とて数キロも離れてしまえばもはや意味をなさなかった。








 急激な上昇による傾きから立ち直り、機体が安定するのを待ってから小六たちは操縦室の扉を開いた。

10人乗りのヘリ内部は操縦室といえどもかなり広い。そこに思ったとおりの人物を見つけて加江は感心とも

諦めともつかないため息をついた。ゆったりと座席に腰掛けて暢気にオート設定を組み込み、振り返った口

中には何故かスルメ。腹ごしらえの真っ最中らしい。

「よ、加江様。竹千代。護衛の任務ごくろーさんv」

「一体いつ来てたのよ………! 機体の点検時にはいなかったくせに」

「入れ違いってヤツ?」

 言いながら五右衛門はニンマリと笑った。

 別任務をこなしてきた彼はその足で国際会議場に乗り込んだのだが、どうせなら敵国には特派員はふた

りきりと思わせておいた方が得策かと踏んだのだ。ふたりがヘリを離れた途端、相手が布陣を固めるだろう

ことは目に見えていたので、ちょっとした隙にヘリ内部に乗り込んだ。出入り口のセキュリティだってもともと

暗証番号を知っている人間にしてみれば屁でもない。

 狙撃と離陸の準備を整えながら待つこと数分。まずは怪しげな黒服集団がやってきた。彼らはしきりとセ

キュリティを解除しようとしたが出来るはずもない。解除しかかるたんびに直前でパスワードを変更してから

かってやりながら更に数分。結局、解除を諦めた連中はヘリを包囲するに留め―――。

 あとは、いまに至る。

「意外と早かったじゃないか。すんなり行ったのか?」

「うーん………行ったといえば行ったんだけど」

 小六の言葉に、微妙なしかめっ面を返しながら五右衛門は最後のコマンドを打ち込んだ。他国のレーダー

に気取られぬギリギリの高度を維持しながら帰還できるコースを取捨選択していく。目的地は―――そう、

『例の』秘密基地でいいだろう。そっと地図を指し示せば小六も頷いて同意を示した。

 後部座席では加江がお茶の用意をし、どこから取り出したのか竹千代が島根県名物あごの干物を並べて

いた。実にシブい選択である。

 窓に広がる黒みがかった空を眺めながらポツリと呟いた。

「小六。防衛隊施設内のネットワーク、借りるぜ」

「危険だぞ。今頃は退去命令が出されているだろうからな、システムも完全にダウンしてるかもしれん」

「裏街道程度のバックボーンネットワークじゃアクセスが拒否された。師匠んトコまで経由してたんじゃあ時

間がかかりすぎる」

 確かに任務は果たしたのだが、実はまだその任務が継続中だったりする五右衛門である。こうなることを

予期していただろう人物の思惑が腹立たしい。

「カードが奪われてもいいように利用制限されてるのはいいと思うんだけどな。でもよ、世界屈指の回線設

備を用意しなきゃなんねぇってすっげぇ門戸が狭くねぇ?」

「お前も秀吉も防衛隊の関係者だ。だから大丈夫だろうと踏んだんだろうよ」

 小六が笑い、五右衛門は拗ねたように口を尖らせた。

 胸ポケットにしまわれた小さなディスクの上に手を重ねる。

 ヘリのオート設定は終わった。秘密基地に行けば小六たちの安全は保障される。解任報道がなされたこ

とによってまず関西支部が防衛隊からの独立を宣言し、施設内メンバーも次々と辞表を提出した。ただ、一

般人を守る責務を放り出す訳には行かないから、まだ施設内に詰めてはいる。後任を決めるまでは手が空

いてしまう政府もそれを黙認している。市民は防衛隊の味方だろうが、状況的にはそういってばかりもいら

れない。

 大事なのはこれからどうするのか―――、だ。

 唇をかみしめて、告げる。

「俺は………まずは、行ってくる」

「ああ」

 小六が頷き返す。五右衛門が視線を返すことはなかったけれど。

 固い決意をこめた声は小さいながらもよく響いた。




「教授が残した遺産とやらを、拝んでやらぁ」




 彼らの前方には青黒い夜の景色が広がっている。

 

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今回はちょっと短め? 特派員ももうちょい活躍させたかったけど………すまん、私には無理だったよ(挫折)。

今回の会場は外国の国際会議場。当然警備も厳重ですが、そもそもの警備を司る人たちが裏切ってたら

どーしよーもないよね、という話。また、「世界的に統一がとれてないのはどうやら相手側も同じらしい」

という話でもありました。軽く整理してみますと―――。

 

先進七カ国の首脳クラスを洗脳。 → 傀儡政権を作ることで満足ということか。

傀儡政権を作るに留めておくのなら。 → 未だに各地で紛争が続いているのが謎。あるいは演技か。

洗脳されていないのは日本だけ。 → 警備が固かっただけなのか。

警備が固かったゆえに。 → 政治生命を終わりにするという手段に訴えたのか。

 

よーするに「宇宙人サイドは地球サイドを洗脳するに留めておきたいのかどーなのか」に集約されそうです。

多分。 ← オイ

相手側も連携が取れていないようだと小六は踏んでいますが、さて真相は………??

 

当方が上手く書き表せないと思われるので、いずれまた説明の機会でも設けませう♪

(それって小説書き失格だヨ!!汗)

 

 

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